国連総会開幕 バイデン米大統領が初演説へ 気候変動、新型コロナ対策焦点

9日、新型コロナウイルス流行に関する新たな行動計画について話すバイデン米大統領=ワシントン(AP)
9日、新型コロナウイルス流行に関する新たな行動計画について話すバイデン米大統領=ワシントン(AP)

【ニューヨーク=平田雄介】来年9月までの1年間を会期とする第76期の国連総会が14日、米東部ニューヨーク市の国連本部で開幕した。イスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握したアフガニスタンへの人道援助をはじめ、感染収束が見通せない新型コロナウイルスへの対応などが焦点となる。

グテレス事務総長は、気候変動、貧困、紛争、テロリズムなど人類共通の課題は「人間が作り出したものだ」と指摘し、解決に向けて加盟国の結束を訴えた。

21日から始まる各国首脳らの一般討論演説ではバイデン米大統領が就任後初めて登壇するが、ミャンマーやアフガンなど、だれが政府を代表して演説を行うのか決まっていない国もあり、情勢の混乱を物語っている。

ミャンマーの代表権は、2月にクーデターを起こした国軍が設置した「国家統治評議会」と、政権を追われた国民民主連盟(NLD)政権に任命されたチョー・モー・トゥン国連大使が申請している。

チョー・モー・トゥン氏は2月下旬の国連会合でクーデターを非難し、3本指を上げるジェスチャーで抵抗の意思を表明した。ルール上、信任状委員会が審査結果を勧告し、総会で別の人物が承認されない限り大使の地位を保持できるが、同氏が一般討論演説に登壇すれば国軍側が反発するのは必至だ。

国連筋によると、国軍の後ろ盾となっている中国は、ミャンマーの代表権について水面下で米国と協議。信任状委員会で代表権が決まるまでの間、チョー・モー・トゥン氏が引き続き国連大使を務める一方、一般討論演説には登壇しない方向で調整が進んでいるという。

アフガンに関しては、ガニ政権下で承認された現在の国連大使からも、暫定政権の閣僚を発表したタリバンからも代表権の申請がないという。今月5日に国軍のクーデターが起きたギニアの代表権の行方も定まっていない。

一般討論演説は最終日の27日までに加盟193カ国のうち100カ国以上が対面での演説を予定。ビデオ演説を選んだ国は途上国に多いとされ、人権団体関係者は「新型コロナのワクチンを公平に分配できなかったために生じた格差の表れだ」と指摘した。

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