【学ナビ】医学とスポーツの融合加速 順天堂大学、スポーツ健康医科学推進機構開設 フレイル予防など社会課題解決に貢献 - 産経ニュース

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医学とスポーツの融合加速 順天堂大学、スポーツ健康医科学推進機構開設 フレイル予防など社会課題解決に貢献

順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構の設立記者会見に出席した(左から)北出真理副機構長、新井学長、鈴木機構長、和氣秀文副機構長=6月、東京都内(同大提供)
順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構の設立記者会見に出席した(左から)北出真理副機構長、新井学長、鈴木機構長、和氣秀文副機構長=6月、東京都内(同大提供)

6学部3研究科6付属病院を擁する健康総合大学として知られる順天堂大学(新井一学長、東京都文京区)は今年4月、スポーツと医学分野の連携を強化し、地域や学内外との横断的プロジェクト推進を支援する組織『スポーツ健康医科学推進機構』を設置した。機構長には同大教授で初代スポーツ庁長官の鈴木大地氏が就任。スポーツと医学に関わる社会課題の解決を目指すとともに、医学とスポーツの両側面からの研究などを通して、スポーツに親しみ、病気になりにくい身体づくりに貢献していく。

同大は、江戸後期の天保9(1838)年に、学祖となる蘭方医、佐藤泰然が設立した医学塾「和田塾」に端を発し、今につながる日本最古の西洋医学塾として知られる。その後、医科大学として発展してきた。

昭和26(1951)年には、体育学部(現スポーツ健康科学部)を開設し、「順天堂大学」が誕生。同学部は今年で開設70年の節目を迎えた。今夏に開催された東京五輪では、同学部2年の橋本大輝さんが、体操男子個人総合で金メダルを獲得するなど、多くのトップアスリートを輩出している。

同機構によると、スポーツと医学の連携が必要な社会課題は、アスリートのサポートのみならず、運動処方や運動療法、加齢による身体の不調(フレイル・サルコペニア)予防、子供の体力低下と運動習慣の二極化など、多岐にわたるという。

同大では、これまでも健康増進や身体機能向上を分析するスポーツ健康医科学研究所やスポートロジーセンター、女性スポーツ研究センターなどを中心に、医学部とスポーツ健康科学部がさまざまな連携研究を進めてきた。

スポーツ庁での経験をいかしたいという鈴木大地機構長は、機構設立の狙いについて「多くの研究が進行しているため、学内のほかの研究について知らないことも多い。連携しやすいネットワークを整備することで、情報や知見を持ち寄り、横断的なプロジェクトを生み出すことができる」と説明。また「学内外との橋渡し役も担い、研究や診療・予防医学、教育・支援、スポーツ振興、産学連携といった役割を効果的に果たしていく」と強調する。

同機構が取り組むのは4つのテーマ。『健康・スポートロジー』では、100歳時代を迎えた中でのスポーツによる疾病予防やスポーツと科学技術によるイノベーションを目指す。『子どもたち』ではコロナ禍での運動不足などによる体力低下予防や幼児期からの運動習慣確立への対策や啓発にも取り組む。

また、『競技力向上』ではアスリートのコンディショニング向上のためのメディカルサポート研究を加速。『地域・まちづくり』では、大学がある文京区と協働で健康づくりの拠点施設、元町ウェルネスパーク(仮称)などを整備予定で、世代を超えて楽しめるスポーツイベントなどを通した運動習慣づくりを推進する。

鈴木機構長は「順天堂大は医学に取り組み、運動の重要性も訴えてきた。しかし、今の社会では医学だけでは解決できない、またスポーツだけでも解決できない問題が数多くあり、両者を融合させたスポーツ医科学という新しい視点の役割は大きい」と指摘。そのうえで、「健康寿命延伸など、社会課題の解決を目指し、大学の強みである医学とスポーツの両輪を機能させていく」と話している。