【9・11テロ20年】識者に聞く(上)河野前統幕長「対テロ戦に抑止効果」/柳井元駐米大使「サイバー攻撃に備えを」(1/2ページ) - 産経ニュース

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9・11テロ20年

識者に聞く(上)河野前統幕長「対テロ戦に抑止効果」/柳井元駐米大使「サイバー攻撃に備えを」

河野克俊・前自衛隊統合幕僚長
河野克俊・前自衛隊統合幕僚長

2001年9月11日の米中枢同時テロで米国はアフガニスタンでの「テロとの戦い」に突き進み、世界の秩序はこの20年間で大きく変化した。米国は今年8月30日にアフガンの駐留米軍を完全撤収させ、「最長の戦争」を終結させたが、世界は今も新たなテロの脅威にさらされている。同時テロに対する米国や同盟国の対応、今後の対テロ戦などについて有識者に話を聞いた。


河野克俊前統合幕僚長

--米中枢同時テロ後、米国がアフガニスタンで20年続けた対テロ戦をどう評価するか。駐留米軍の完全撤収を前に、イスラム原理主義勢力タリバンが実権を掌握した

「米国をテロから守るという観点からいうと、同時テロ当時よりも安全に関する状況は改善した。特に国際テロ組織アルカーイダやイスラム教スンニ派過激組織『イスラム国』(IS)などの勢力を弱めた。対テロ戦が無駄だったということはない。米国は20年間もずっとアフガン政府を支援し軍隊も教育してきた。ある段階においてアフガン自らが責任を持たなければいけなかったのも事実だ」

--米国に対する同様の大規模テロは起きていない

「米国はテロに対して軍事力を行使するということを世界に示した。残念ながらテロを完全になくすことは難しいが、対テロ戦によって新たなテロを抑止する効果は相当あった」

--対テロ戦を通し、米国と日本などの同盟国が手を携えてテロと戦う形ができたのではないか

「1991年の湾岸戦争の対応で日本は『トゥーリトル・トゥーレート(少なすぎ、遅すぎる)』といわれ、130億ドル(当時レートで約1兆7千億円)もの資金を拠出したが何の評価もされなかった。対テロ戦争で湾岸と同じような対応をすれば、絶対に日米同盟は崩壊するという強い危機感を持った。トゥーレートだけは絶対に避けなければいけないと。最終的に海上自衛隊がインド洋で洋上補給活動を実施し、高く評価された。日本は米側につく旗幟(きし)を鮮明にし、自衛隊としてステップアップしたオペレーションとなった」

--今年8月末の米軍のアフガン撤収に伴う自衛隊機による邦人らの国外退避が15人にとどまった

「結果として出遅れ感があった。自衛隊機よりもまず民間機で退避させる発想があったのではないか。邦人を守るのは国の責任。自衛隊を使い切るという意味ではまだ過渡期にある」

(加納宏幸)


【プロフィル】河野克俊(かわの・かつとし)

防衛大卒業後の昭和52年、海上自衛隊に入隊。自衛艦隊司令官、海上幕僚長などを経て平成26年に統合幕僚長に就任。在任期間は歴代最長の4年半にわたった。66歳。