外堀埋められた石破氏 求心力低下、再浮上保証なし - 産経ニュース

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外堀埋められた石破氏 求心力低下、再浮上保証なし

自民党総裁選への出馬を断念し河野太郎行政改革担当相への支持を表明する石破茂元幹事長=15日午後、国会内(春名中撮影)
自民党総裁選への出馬を断念し河野太郎行政改革担当相への支持を表明する石破茂元幹事長=15日午後、国会内(春名中撮影)

自民党の石破茂元幹事長が15日、総裁選(17日告示、29日投開票)への出馬断念を表明し、河野太郎ワクチン担当相を支持する考えを示した。一時は立候補を模索したが、自身が創設した石破派(水月会、17人)からも慎重論が相次ぎ、外堀を埋められた。再浮上に向けて総裁選では地方で根強い「石破人気」を見せつけたいところだが、世代交代の流れにあらがうのは難しいとの見方もある。

「改革を志す勢力が二分するのは好ましいことでない」。石破氏は15日の記者会見で、出馬を見送った理由をこう説明した。同時に「安全保障などへの見識を述べなくていいのかと随分悩んだ。自分が出るべきでないかという思いがあった」と割り切れない思いも吐露した。石破氏は15日午前まで出馬の可能性を探っていたという。

各派閥の締め付けが緩んだ今回の総裁選は、国会議員票の伸び悩みが過去の敗因だった石破氏にとって好機だった。ところが、肝心の石破派内から慎重論が続出し、告示直前に撤退に追い込まれた。

求心力の低下は、派内の慎重論を振り切って菅義偉首相に挑み、惨敗した昨年9月の総裁選で決定的になった。国会議員票は首相の獲得票の10分の1に満たない26票にとどまり、石破氏は派閥会長を引責辞任。石破派は石破氏を慕う議員と、距離を置く議員が混在する「仮面家族」(石破派幹部)に陥った。

結束力は回復せず、総裁選を前に派内では河野氏を推す声が高まり、側近として石破氏を支え続けた平将明元内閣府副大臣までが公然と河野氏陣営に加勢。事実上の領袖(りょうしゅう)の背中を押す雰囲気は醸成されなかった。

派内には今回の撤退が、安倍晋三前首相との対立に起因する長年の冷や飯生活にピリオドを打つきっかけになるとの期待もある。地方行脚などで培った人気を生かし、党員・党友票の積み増しで河野氏の当選に貢献することができれば、主流派として復権する芽が出てくるとにらんでいるからだ。派のベテラン議員は「『勝ち馬づくり』に貢献できればいい」と語る。

一方で悲観的な見方もある。石破氏をよく知る閣僚経験者は「河野氏がこけたら石破氏も一蓮托生(いちれんたくしょう)だ」と指摘。石破派関係者も「世代交代が一気に進み、石破氏が総裁選に出る機会がなくなるのではないか」と懸念を口にする。果たして決断は吉と出るか、凶と出るか。(奥原慎平)