北朝鮮、〝理解者〟中韓の顔つぶす挑発 - 産経ニュース

メインコンテンツ

北朝鮮、〝理解者〟中韓の顔つぶす挑発

15日、ソウルの韓国大統領府で会談に臨む文在寅大統領(右)と中国の王毅国務委員兼外相(韓国大統領府提供・共同)
15日、ソウルの韓国大統領府で会談に臨む文在寅大統領(右)と中国の王毅国務委員兼外相(韓国大統領府提供・共同)

北朝鮮による15日の弾道ミサイル発射は、韓国を訪れた中国の王毅(おう・き)国務委員兼外相が文在寅(ムン・ジェイン)大統領らとの会談を通じ、北朝鮮問題の「対話による解決」を訴える最中に行われた。国際社会による制裁の維持を主張する日米に対し、経済支援に前向きな中韓は北朝鮮の頼もしい〝理解者〟といえるが、その顔をつぶすこともいとわず核ミサイル開発を進める方針を示した形だ。

「韓国政府の努力を後押しする大きな役割を果たしてほしい」。15日午前、王氏と会談した文氏は拳を突き合わせて笑顔で写真撮影に応じ、北朝鮮問題での中国の協力を求めた。北朝鮮のミサイル発射が探知されたのは、2人の会談が終了した直後だった。

王氏は文氏との会談に先立ち、北朝鮮が13日に公表した新型長距離巡航ミサイル発射について報道陣に「他の国も軍事行動をしている」と発言。王氏は「各国が対話再開に向けて努力すべきだ」として北朝鮮を名指しした批判を避ける姿勢を示していたが、面目を失う結果となった。発射の一報から8分後には外相昼食会が始まったが、席上ではこの日のミサイル発射に言及しなかったという。

韓国のシンクタンク「韓国国防安保フォーラム」のシン・ジョンウ事務局長は「これまでの経過を振り返っても、北朝鮮は中国に配慮せず核ミサイル実験を繰り返してきた」と指摘。王氏のソウル滞在中の発射は「今後も中国の動向に左右されず開発を続ける、との意味が込められている」と分析する。

一方、韓国も前日の14日、新型長距離巡航ミサイル発射について「国連安全保障理事会の決議で禁じられた弾道ミサイルではなかった」とする立場を示し、北に反発する世論の沈静化を図ったばかりだった。韓国メディアは直後の弾道ミサイル発射を「北を擁護する韓国政府をあざ笑う態度だ」(UPIニュース)などと報じた。

韓国は北ミサイル発射の約1時間後、文氏視察の下で潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施した。文氏は「北朝鮮の挑発に対応するものではなく、予定された日程で行われた」と強調したが、南北間の開発競争は今後も加速する見通しだ。軍事力増強と南北対話の両方を追求する「安保のジレンマ」(聯合ニュース)に、韓国の苦悩は深まっている。(ソウル 時吉達也)