【朝晴れエッセー】神の手・9月14日 - 産経ニュース

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朝晴れエッセー

神の手・9月14日

とある病院の産婦人科に、神の手たちは存在する。そんな神の手たちとの出会いは、「妊娠していますね」。そんな言葉から始まった。

日に日に大きくなっていく小さな命。「かわいいなぁ」と言いながら診察してくれる検診日が楽しみだった。

時は流れ、2021年6月21日。神の手は電話口で、「破水かもしれないですね。間違いでも構わないので、気をつけて来てくださいね」と優しく声をかけてくれた。

この声にどれだけ安心したことか。そして、この言葉をかわきりに、神の手たちはその効力を発揮することとなった。

腰をさすってもらったり、肩を支えてもらったり、励ましてもらったり。この現場では当たり前のことかもしれないが、計り知れない安心感に包まれた。お腹は痛くても、不思議と心は安らぐのだ。

苦しかった31時間。喜びに変わった31時間。神の手たちは、23日の朝、あたたかい小さな命を届けてくれた。

神の手にかかれば、泣いている赤ちゃんも不思議と泣き止む。沐浴(もくよく)では、にんまり笑顔をさっと引き出す。すごすぎる。

医師、看護師、そして助産師のみなさん。今回出会った神の手たちは、私の人生に彩りを添えてくれました。

このコロナ禍、人のために最善を尽くす医療従事者の皆さんのそのプロ意識を肌で感じました。人の心に寄り添い、華やかにさせる。そんな神の手と心を持ったみなさんとの出会いに感謝します。

届けていただいた小さな命は日に日に成長し、私たちに笑顔の花を咲かせてくれています。

中西生 30 奈良県天理市