【世界文化賞】心に響く異分野への壮大な旅 音楽部門 ヨーヨー・マ氏 - 産経ニュース

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世界文化賞

心に響く異分野への壮大な旅 音楽部門 ヨーヨー・マ氏

バッハ「無伴奏チェロ組曲」全曲演奏会 サントリーホールにて 2016年 画像提供:サントリーホール
バッハ「無伴奏チェロ組曲」全曲演奏会 サントリーホールにて 2016年 画像提供:サントリーホール

世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第32回受賞者が14日発表され、音楽部門は世界的なチェロ奏者、ヨーヨー・マ氏(65)=アメリカ=に決まった。

現代最高峰のチェロ奏者。そして、音楽の分野も文化の垣根も軽々と越えてしまう〝越境する〟チェロ奏者でもある。

1955年、仏パリで生まれた。両親は中国人の音楽家で、チェロは、4歳から父親の手ほどきを受けた。「チェロのいいところは、表現の幅がかなり広いところだ」という。さらに7歳で米ニューヨークに移り、名門のジュリアード音楽院で本格的にチェロを学んだ。

「バッハプロジェクト」 インド・ムンバイにて 2019年 (C)Austin Mann
「バッハプロジェクト」 インド・ムンバイにて 2019年 (C)Austin Mann

10代でパブロ・カザルス、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチに並ぶチェロ奏者と評された。20世紀を代表する2人の巨匠と肩を並べたが、「アイデンティティーを探したい」とハーバード大学に進む。人類学など、さまざまな領域の知識を得ながら、音楽への造詣を一層深めた。

これまでに発表したアルバムは100作以上。18回受賞した米グラミー賞をはじめ、多数の賞を獲得している。21世紀のチェロ奏者の最高峰だが、忘れてならないのは、クラシック分野にとどまらない、その音楽の多様性だろう。

「音から構成されている点で、すべての音楽は共通している」と語り、タンゴや映画音楽も奏でれば、ジャズ歌手やカントリー音楽のバイオリン奏者とも共演している。

また、98年から、東西を結んだ絹の道にいまもいぶく民族音楽を掘り起こし、現代の楽器や奏法で演奏しようという試みを始め、「シルクロード・プロジェクト」と名づけた。「『見知らぬ人が出会うとどうなるのか』というシンプルな疑問を探求している」という。

2018年からはバッハの「無伴奏チェロ組曲」を世界36カ所で演奏する「バッハプロジェクト」も始めた。昨夏までに36カ所を回る予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で27カ所で途切れている。だが、この11月、沖縄公演から再開する予定だ。

また、昨年末には、コロナ禍の人々を励ますアルバム「ソングス・オブ・コンフォート・アンド・ホープ」を発表し、大きな反響を呼んだ。