アフガン支援で足並みそろえるも欧米諸国はタリバンに警戒 - 産経ニュース

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アフガン支援で足並みそろえるも欧米諸国はタリバンに警戒

8月15日、アフガニスタンの首都カブールの大統領府を占拠したタリバンの戦闘員。米国が支援する政府軍は、タリバンの攻勢を受けてあっさり瓦解した(AP)
8月15日、アフガニスタンの首都カブールの大統領府を占拠したタリバンの戦闘員。米国が支援する政府軍は、タリバンの攻勢を受けてあっさり瓦解した(AP)

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンによる8月15日の首都カブール制圧から1カ月となるのを前に、国連が13日に開いた閣僚級会合で、国際社会はアフガンに対する人道支援で足並みをそろえた。ただ、欧米諸国の代表はタリバン暫定政権による人権侵害に懸念を強調し、支援の妨げになる可能性があるとの認識を示した。

国連のグテレス事務総長は、各国が表明したアフガンや周辺国への支援総額が11億ドル(約1200億円)を超えたことについて、会合後の記者会見で「アフガンの人々に効果的な人道支援を提供すべきだという認識が満場一致で支持された」と評価した。会合には日米など96カ国が参加。国連は年末までに6億600万ドル相当の緊急支援物資が必要としており、目標額を大幅に上回った。

アフガンは世界最貧国の1つで、タリバンがカブールを制圧し、実権を掌握した8月以前でも国民の半数近くの約1800万人が人道支援に依拠。状況はここ数週間でさらに悪化した。国連世界食糧計画(WFP)によると、1400万人が飢餓の危機にある。

そのため、会合では、加盟国の多くが国際機関などを経由してアフガン国民を支援する方針を相次いで発表。日本の鷲尾英一郎外務副大臣は、6500万ドル規模の新規支援を含め、年内に総額2億ドルの支援を行う用意があると説明した。

ただ、欧米諸国は支援を表明しつつも、その継続はタリバンの人権への取り組み次第との姿勢を示した。

トーマスグリーンフィールド米国連大使は会合で約6400万ドルの追加支援を表明した上で「タリバンが(人権を尊重する)約束を守らない限り、支援業務はできない」と警告。5億ユーロ(約650億円)の追加支援を発表したドイツのマース外相も、人道支援を含めたアフガンへの関与は「(タリバンの)言葉ではなく、行動によって決まる」と念を押した。

欧米諸国の懸念を裏付ける兆候は現れている。バチェレ国連人権高等弁務官は13日の国連人権理事会で、タリバンの実権掌握後、アフガン治安部隊要員の処刑やガニ政権関係者らの拘束に関する証言が報告されていると指摘。女性が公の場に男性の付き添いなしで出掛けることが禁じられるなどの権利侵害も確認されているとし、タリバンが人権に関する公約をほごにしていると非難した。

一方、タリバン暫定政権を「無政府状態を終結させた」と評価する中国の代表は13日の会合で、新型コロナウイルスのワクチン300万回分を寄付すると表明。「中国はアフガンの経済発展を支援するために最善を尽くす」と訴えた。(ロンドン 板東和正)