【世界文化賞】内と外を結ぶ光の啓示を追究 彫刻部門 ジェームズ・タレル氏 - 産経ニュース

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内と外を結ぶ光の啓示を追究 彫刻部門 ジェームズ・タレル氏

2021年世界文化賞 提供写真彫刻部門 Sculptureジェームズ・タレル James Turrell2) DSC00044米アリゾナ州のアタジオにて 2021年Photo: Yutaka Sato
2021年世界文化賞 提供写真彫刻部門 Sculptureジェームズ・タレル James Turrell2) DSC00044米アリゾナ州のアタジオにて 2021年Photo: Yutaka Sato

世界の優れた芸術家を顕彰する「高松宮殿下記念世界文化賞」(主催・公益財団法人日本美術協会=総裁・常陸宮殿下)の第32回受賞者が14日発表され、彫刻部門は世界的な現代美術家、ジェームズ・タレル氏(78)=アメリカ=に決まった。

2021年世界文化賞 提供写真彫刻部門 Sculptureジェームズ・タレル James Turrell7) Skyspace Lech ©James Turrell, Photo by Florian Holzherr 《スカイスペース・レッヒ》2018年 オーストリア © James Turrell, Photo: Florian Holzherr
2021年世界文化賞 提供写真彫刻部門 Sculptureジェームズ・タレル James Turrell7) Skyspace Lech ©James Turrell, Photo by Florian Holzherr 《スカイスペース・レッヒ》2018年 オーストリア © James Turrell, Photo: Florian Holzherr

光と知覚の関係を一貫して探究している世界的な現代美術家。

ロサンゼルス生まれ。ポモナ・カレッジで数学と知覚心理学を、カリフォルニア大学アーバイン校大学院で美術史を学び、クレアモント大学院大学で芸術修士号を取得した。飛行機を操縦し、航空力学や天文学にも精通している。

幼少期から光に魅せられてきた。瞑想(めいそう)を重んじるクエーカー教徒だった家族の影響もあるといい、「目を閉じた夢の中にも光は宿る。人間の内面と外界を結ぶ光を扱いたい」と話す。「光が何を照らすかではなく、光そのものが啓示であることに興味がある」とも語り、「物質としての光」の可視化を追究してきた。

1967年、米パサデナ美術館(現ノートン・サイモン美術館)で初期の代表作《プロジェクション・ピース》を目玉に初個展を開いた。プロジェクターで幾何学図形を室内に投影した同作品は、知覚や認識の変化を体感させるインスタレーション。以降、霧状の光がスクリーンのように覆う作品や、漆黒の空間でかすかな光を感知させる作品なども生み出してきた。

世界各地にある代表的シリーズ《スカイ・スペース》は、矩形(くけい)にくり抜かれた天井を見上げ、刻々と変わる空の色や光を体感するための作品。空の光はやがて見る者の内面へと染み入り、外界と内面をつないでくれる。

雄大な自然を舞台にしたライフワークも。アリゾナ州の火山帯に広大な土地を入手し、79年から取り組む《ローデン・クレーター》プロジェクトだ。死火山の内部にたくさんの部屋を造り、天体の運行に合わせて光を知覚するという壮大な計画で、完成へ順調に進んでいるという。

ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館(いずれも米)、パリ市立近代美術館(仏)、水戸芸術館現代美術センターなどで、これまで約500の展覧会を実現させてきた。日本国内では香川県・直島の「地中美術館」と「南寺」、金沢21世紀美術館、新潟県十日町市の「光の館」などに常設作品がある。