仮想通貨決済、日本で広がらず 相場乱高下やマネロンに懸念 - 産経ニュース

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仮想通貨決済、日本で広がらず 相場乱高下やマネロンに懸念

6日、ビットコインを支払いに利用できることを表すロゴを店頭に示すエルサルバドルの理容店(ロイター=共同)
6日、ビットコインを支払いに利用できることを表すロゴを店頭に示すエルサルバドルの理容店(ロイター=共同)

中米エルサルバドルが暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨に採用したが、日本では暗号資産を日常的な決済手段とする動きは広がっていない。巨額の顧客資産の流出を受け利用者保護のための法改正が行われたものの、価格の乱高下やマネーロンダリング(資金洗浄)対策など不安は拭えないからだ。日本を含む主要各国はむしろデジタル化を自国通貨の利便性向上に役立てるため、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)の導入に向けて動き出している。

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野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「投機性が高いビットコインは価格の変動が大き過ぎて、決済手段には適さない」と指摘する。

国内でビットコインが広く認知され始めた平成29年には、家電大手のビックカメラや眼鏡専門店のメガネスーパーなどの量販店でもビットコイン決済を導入した。ただ、その後はインターネット通販や個人経営の飲食店など一部を除けば大きな広がりはみられない。

むしろ30年に仮想通貨取引所大手のコインチェックが580億円規模の巨額流出を発表するなど暗号資産ブームの暗部が浮き彫りになり、令和元年に資金決済法などの関連法令の改正で管理が強化された。取引時の匿名性が高く金融犯罪に利用されやすい点も課題で、警察庁によると3年上期に企業などのシステムに侵入するサイバー犯罪「ランサムウエア」の被害61件中26件で暗号資産での支払い要求があった。

一方、現金からデジタル通貨への移行は世界的流れでもあり、各国中銀は暗号資産の混乱を反面教師に、公的な価値の裏付けがあるCBDCの導入に向け動き出した。先行する中国はデジタル人民元の来年発行に向け大規模な実証実験を実施。日銀も今年4月に実証実験を開始した。欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)でも実用化に向けた検討が急ピッチで進んでいる。

木内氏は「信頼性の高いCBDCが導入されて広く普及すれば、キャッシュレス化が一層進むといったデジタル化の恩恵で、経済の活性化にもつながる」と分析している。(永田岳彦)