台湾で「中正紀念堂」存続めぐり与野党対立 蔣介石を顕彰 - 産経ニュース

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台湾で「中正紀念堂」存続めぐり与野党対立 蔣介石を顕彰

「中正紀念堂」にある蔣介石の銅像(矢板明夫撮影)
「中正紀念堂」にある蔣介石の銅像(矢板明夫撮影)

【台北=矢板明夫】中国大陸での内戦に敗れ、台湾に渡った元総統、蔣介石(1887-1975年)を顕彰する施設「中正紀念堂」の存続をめぐり、台湾で与野党が対立し、世論も二分している。与党、民主進歩党は「独裁時代と決別すべきだ」と閉鎖・改修を主張しているのに対し、野党、中国国民党は「歴史を大事にすべきだ」と反発している。

対立のきっかけとなったのは、国民党の一党独裁時代における人権侵害の真相などを調査する行政院(内閣に相当)傘下の独立機関「移行期の正義促進委員会」(促進転型正義委員会)が8日に発表した中正紀念堂の改修案だ。台北市の中心部にある同施設を「権威主義の象徴」とし「取り除くべきだ」と結論付けた。ホールに設置されている蒋の銅像を撤去し、建物をリフォームするなど「市民が自由に利用できる歴史公園にすべきだ」と提案した。今後、この改修案に基づき具体的な工事計画を推進するとしている。

この改修案に対し、賛否両論が寄せられた。民主進歩党の立法委員(国会議員)の范雲氏は「権力者を顕彰する銅像は民主主義となじまない」と支持した。国民党政権が台湾の住民を弾圧した1947年の「2・28事件」の遺族団体なども相次いで賛同を表明した。

これに対し、国民党関係者は猛反発した。蔣のひ孫で、立法委員の蔣万安氏は「このような乱暴なやり方は社会を分断し、対立と憎しみの結果をもたらす」と反対の立場を表明した。同じく立法委員の呉斯懐氏は「銅像を撤去するなら、各地に作られている日本統治時代の技師、八田與一の像なども含めてみんな撤去すべきだ」などと語り、民進党政権の姿勢は「親日反中」だと批判した。国民党は台北市に対し、銅像の撤去と施設の改修の実施を阻止するように申し入れた。

中正紀念堂は蔣の本名「蔣中正」から名付けられており、蔣が死去した直後の1975年当時の行政院が「哀悼の意を表すため」に建設を決定、80年に完成した。敷地総面積は東京ディズニーランドの約半分で約25万平方メートル。今は台北市の著名な観光スポットとして知られている。蔣の銅像前で定時に行われる衛兵交代式を見るために、わざわざ海外からやってくる観光客もいるほどだ。

同施設の存続は以前から民進党と国民党の対立の焦点だった。民進党の陳水扁政権時代の2007年にはいったん「台湾民主紀念館」に改名されたが、国民党が政権復帰した09年に元の「中正紀念堂」に戻った経緯がある。