戦争や平和をやさしい言葉で 70年前の恩師と絵本 バイオリニストの黒沼さん(1/2ページ) - 産経ニュース

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戦争や平和をやさしい言葉で 70年前の恩師と絵本 バイオリニストの黒沼さん

70年前の縁から絵本を共作したバイオリニスト、黒沼ユリ子さん(左)と、恩師の大西三朗さん=東京都内
70年前の縁から絵本を共作したバイオリニスト、黒沼ユリ子さん(左)と、恩師の大西三朗さん=東京都内

70年前の先生と生徒が、初めての絵本を作った。千葉県御宿町在住の国際的バイオリニスト、黒沼ユリ子さん(81)と、小学生のときの図工の担任だった東京都内のイラストレーター、大西三朗さん(92)。題名は「ゆびのこと、しってる?」。戦争、平和、異文化理解…。4歳で戦災にあい戦後はバイオリンを手に世界を歩いた黒沼さんが、未来を担う子供たちへどうしても伝えたいことを「5本の指」に託した作品だ。

黒沼さんは昭和15年、東京都渋谷区生まれ。8歳でバイオリンを始め、高校1年で日本音楽コンクール1位。18歳で現在のチェコ・プラハへ留学した際の出会いが縁で、長年メキシコで暮らした。平成26年に帰国、御宿へ移り住んだ。

大西さんは昭和3年、北海道夕張町(現夕張市)生まれ。戦後、札幌で国語教師となったが、新劇運動に参加したくて上京。生活のため渋谷区立笹塚小の図工教師となった25年、4年生の教室に黒沼さんがいた。

「大西先生が飛ぶように教室に入るや『机といすを壁に寄せろー』。草花の花瓶を床の真ん中に置き、写生が始まった。苦手な図工の時間が大好きになった」

大西さんは、子供たちのために芝居の脚本も書いて上演した。「ペチカ(暖炉)」という作品の見せ場は、黒沼さんが劇中でバイオリンを弾く場面。「表現する喜びと自信を教えてくださったのが、大西先生でした」。卒業後も交流は続き今回、共作が実現した。

絵本では、親指をはじめ5本の指それぞれの名前の由来や役割を通して、2人の長い人生経験から子供たちに知ってほしいことが、やさしい言葉で語られる。

たとえば、「ひとさしゆび」。人を指さす態度は、けんかにつながる。国同士のけんかは、戦争。大西さんは大戦末期、帯広近郊の村へ「援農」にやられた。