【主張】資金洗浄対策 甘さ残さず不備を改めよ - 産経ニュース

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資金洗浄対策 甘さ残さず不備を改めよ

各国のマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与対策を審査する国際組織、金融活動作業部会(FATF)の対日報告で、地方銀行など大手以外の金融機関の顧客管理が不十分などと対策の甘さが指摘された。

日本の評価は3段階で2番目の「重点フォローアップ国」である。最低ランクの「観察対象国」とはならなかったが、対策のさらなる強化を求められたことは厳しく受け止めなければならない。

日本は以前にもFATFから迅速な法整備を促されるなど、先進国の中でマネロンに甘い国とみられてきた。このため官民双方で対策を強化してきたが、それでも足りないということである。

詐欺や脱税などで得た不正な資金が摘発を逃れ、組織犯罪やテロの資金源になることがあってはならない。まして日本は核・ミサイル開発をやめない北朝鮮の脅威にも直面しており、海外への不正送金には特段の警戒がいる。

政府や金融機関などは、不備を改めるのに有効な対策を早急に実行に移すべきだ。日本を不正の抜け穴にしてはならない。

資金の流れを分かりにくくするため、他人名義や架空企業の銀行口座などを利用するのが代表的な手口だ。FATFは、口座開設後の取引内容の確認など継続的な顧客管理が不十分だと指摘した。

NPO(民間非営利団体)がテロ組織などに悪用されることを防ぐ法整備は最低評価だった。取引先企業の背後にいる実質的支配者の確認も改善が促された。政府も業界の監督や捜査・訴追に優先的に取り組むよう要請された。

政府は8月、マネロン対策を強化する今後3年間の行動計画を策定したが、金融機関などの検査を増やすのはもちろん、法定刑を引き上げる厳罰化も含めて具体化に向けた検討を急ぐ必要がある。

対策の遅れが指摘された地銀などには、疑わしい金融取引をあぶり出すノウハウが乏しいところも多い。政府や業界全体で、個々の金融機関の対策を促すための支援を強めなくてはならない。

最近は暗号資産やスマホ決済などを利用した不正も目立つ。金融機関だけでなく、暗号資産交換業者などもマネロンのリスク管理を徹底しなくてはならない。官民ともに、複雑化する手口に適切に対応できるよう対策の実効性を不断に検証することが重要である。