一家三代の女性の人生とお金のかかわりを描いた家族小説。「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」と話す70代の琴子は、夫に先立たれて年金収入が減った。先々が不安になり、仕事を探し始める。大病をした嫁は熟年離婚する友人の話に影響され、自分の老後設計を考える。1人暮らしを始めた孫は、理想の生活にはお金がかかるという現実に直面するが―。
お金を何に使うかには人生観が反映される。率直に話し合い、行動力もある一家は魅力的だ。ポイントをためる「ポイ活」など、はやりの節約ネタも盛り込まれ、実用書的にも楽しめる。(原田ひ香著、中公文庫・770円)