AIとの対話でコードが自動生成される時代、プログラマーの役割はどう変わるのか(1/3ページ) - 産経ニュース

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AIとの対話でコードが自動生成される時代、プログラマーの役割はどう変わるのか

自然言語による“対話”に基づいて人工知能(AI)がプログラムコードを自動生成するシステム「OpenAI Codex」を、このほどOpenAIが公表した。コーディングの多くを機械任せにして生産性を高め、人間のプログラマーはシステムの設計や構造を描くような高度な業務に移行するというが、本当にそれだけで済む話なのだろうか──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィによる考察。

TEXT BY STEVEN LEVY

WIRED(US)

わたしはサンフランシスコのミッション地区にある企業を数週間前に訪れ、コンピュータープログラミングにディスラプション(創造的破壊)を起こすと謳われるプログラムを見せてもらう機会を得た。このとき訪問したOpenAIは、「汎用人工知能(AGI)」と呼ばれる技術の開発に取り組む企業である。

その最新の成果である人工知能(AI)システム「OpenAI Codex」は、コンピューターのコードを書くことができる。場合によっては、とてもうまくだ。

OpenAIの最高技術責任者(CTO)であるグレッグ・ブロックマンと、共同創業者でCodexの開発を指揮したボイチェフ・ザレンバによるデモンストレーションに、わたしは感銘を受けた。ふたりはCodexに文章を出力させ、画像を取得させ、ウェブページを作成させ、そしてインターネット上に公開させたのである。

さらに、日常会話で使うような一般言語を用いてウェブ上にあるヘリコプターの画像をダウンロードし、それを画面上で動かして敵を倒すシンプルなゲームをつくりあげた。ゲームの特徴が一歩ずつかたちになっていくにつれ、わたしが目の当たりしているものは優秀なプログラマーが“波に乗っている”ときに感じるという、かの有名な「フロー状態」なのだと気づいた。

これまでフロー状態とは、濃密な内なる対話だった。それがいまや、ロボットアシスタントとの会話のようなものになったのである。

「GPT-3」との共通項

Codexが日常言語をコードに翻訳するコマンドはシンプルで、コンピューターにできることの限界を突破したわけではない。だが、これによりトップクラスのプログラマーでさえ時間と労力をとられるこうした作業段階を、理論上はきれいさっぱりなくせるはずだ。

デモの途中でOpenAIの最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマンがコメントし、自身がプログラミングをしていたころはCodexが数秒でなしとげたタスクを終わらせるまで30分はかかったと語った。PythonやJavaScript、HTMLなど、10以上のコンピュータ言語を使いこなすCodexは、与えられたタスクにどの言語が適切なのか自身で判断し、すぐにクリーンなコードを出力し始める。

OpenAIの前回の話題作だった言語生成アルゴリズム「GPT-3」は、さまざまなキューを基にそれらしい散文詩を生み出すことができる“自然言語”の生成システムだった。Codexとまったく同じではないが、人間の仕事と機械の仕事との間にある直感的な境界線を越えるという意味で、両者は兄弟関係にある。

ただし両者は、少なくとも現段階では能力に限界があるという点でも似ている。GPT-3はまだ作家のウラジーミル・ナボコフには及ばないが、それなりの宣伝文句くらいは書けそうだ。同じように政府のIT担当職員が社会保障インフラをCodexのコマンドに置き換えることは、近い将来にはないだろう。だが、GPT-3が信頼性基準をようやく超える程度の文書作成能力で成功を認められた一方で、Codexが一瞬にして生み出すちょっとしたコードは人間が書いたものと同等か、それを上回るクオリティである。

「このモデルはわたしよりずっと優れているんですよ」と、OpenAIのブロックマンは言う。「Codexは一般公開されている数十億行のソースコードを使ってトレーニングされており、ウェブ上に存在するあらゆる関数を人々がどんな用途で使っているのか知っています。そして、それらを使用領域のコンテクストに合わせることに非常に長けているのです」