後付けOKでペダル踏み間違い事故の悲劇を防ぐ - 産経ニュース

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後付けOKでペダル踏み間違い事故の悲劇を防ぐ

アイアクセルを持ち「踏み間違い事故の悲劇を減らしたい」と話す万殿貴志社長
アイアクセルを持ち「踏み間違い事故の悲劇を減らしたい」と話す万殿貴志社長

自動車のペダル踏み間違いによる事故を防ごうと、産業機械メーカーの英田(あいだ)エンジニアリング(岡山県美作(みまさか)市)は、踏み間違いによる急発進を防ぐ補助装置「アイアクセル」を開発・販売している。75歳以上の高齢ドライバーは、一般ドライバーに比べ踏み間違いの事故の割合が高い。同社の万殿(まんどの)貴志社長は「踏み間違い事故で被害者はもちろん加害者の運命も大きく変えてしまうこともある。アイアクセルの普及で少しでも悲劇を防ぎたい」と話している。

サポカー補助対象

補助装置「アイアクセル」は、アクセルペダルを強く踏み込むと、装置が作動し加速が解除されて、ゆるやかにブレーキがかかる。ペダルから足が離れると、装置の作動は解除される。通常の運転ではありえない「急アクセル」のような操作が生じた際に作動する仕組みだ。

装置作動時にはダッシュボードに設置する状態表示器が点灯し、警告音が鳴る。装置取り付け後もペダルの重さなど操作性は変わらない。

高齢ドライバーが多い軽乗用車やコンパクトカーなど約50車種に対応する。後付け式のため新たに車を買い直す必要がない点もメリットだ。

本体の希望小売価格は17万6千円(税込み)で、同社認定の事業者によるもとのアクセルとの交換・取り付け工事が必要。国の「サポカー補助金」の対象商品で、65歳以上の購入者は補助が受けられる。

「アイアクセル」の名称は、社名の英田と「愛情ある運転を」-の意味を込めて名付けられた。

車に取り付けられたアイアクセル(右のペダル)。操作感は変わらない
車に取り付けられたアイアクセル(右のペダル)。操作感は変わらない
高齢運転者で多発

高齢者のアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違い事故は社会問題となっている。東京・池袋で平成31年4月、乗用車が暴走して通行人を次々とはね、母子2人が犠牲となった事故は記憶に新しい。この事故で東京地裁は9月2日、旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(90)のペダル踏み間違いを認定し、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で禁錮5年の実刑判決を言い渡した。

警察庁によると、平成28~令和2年の75歳以上の高齢運転者のかかわる自動車死亡事故(1861件)のうち、ペダル踏み間違い事故は141件(7・6%)。同期間の75歳未満の運転者の死亡事故(1万1128件)では、踏み間違い事故は1・0%(107件)となっており、高齢運転者では踏み間違い事故の割合が高い。

安全運転のために

英田エンジニアリングは、岡山県美作市に本社を置く昭和49年創業の産業機械メーカー。成形機や造管機、無人駐車場の管理システムなどを製造・開発。国内外に取引先がある。アイアクセルは年内千台の販売を目標としている。

アイアクセルの状態表示機。作動時に警告音が鳴る
アイアクセルの状態表示機。作動時に警告音が鳴る

万殿社長は、踏み間違い事故のニュースや関連会社が手掛ける無人駐車場で踏み間違いによる物損事故報告に触れるたびに、「事故を防ぐため何か作れないか」と考え、約3年前から開発に取り組み、今年6月、アイアクセルの本格販売を始めた。

「美作を含め、公共交通の発達していない中山間地域では車は買い物や通勤に必要不可欠。高齢者の安全運転のため、アイアクセルを普及させ、少しでも悲劇を防ぎたい」と話している。(高田祐樹)

アイアクセルの問い合わせは英田エンジニアリング(0868・74・3877)。