【朝晴れエッセー】9・11と動かない車・9月11日 - 産経ニュース

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朝晴れエッセー

9・11と動かない車・9月11日

20年前のその日、ニューヨークの隣のニュージャージーにいた私は、全米から営業担当者が集まる月1回の営業会議に出席していました。

会議の前に仕事の件や家族の件など和気あいあいの会話をしていると、総務の女性がつけたテレビにワールドトレードセンタービルから煙が出ているのが映し出されていました。

そのときは小型飛行機が事故でぶつかったぐらいの話で、全員9時からの会議を開始しました。

会議を始めた途端、2機目がビルに突入、同時多発テロだったのです。

会議は即中止、会社内も一体何が起きているのかわからず、しゃがみこんで泣き出すアメリカ人女性、何も言葉を発せずテレビの画面を食い入るように見る営業マン。

時間がたつにつれ、これがテロであること、空には多数の飛行機がまだ飛んでいることなど、さまざまな情報が錯綜(さくそう)して入ってきました。

そして、2つのビルは崩れ落ちました。

私の住んでいるところからマンハッタンまでは通勤可能で、最寄りの駅に車を止めて電車で通勤する人たちもいました。

テロの後、駐車場にずっと止まったままの車もありました。その車の持ち主はテロのために亡くなった人だったのでしょうか、奥さんも子供もいたのでしょうか。

9・11の日になると、20年たった今でもその車のことをなぜか思い出します。


西尾祐二(62)奈良県平群町