海上や海中で発見された機雷や不発弾を処理する海上自衛隊横須賀警備隊の水中処分隊へ配属後、水中処分員(EOD)の資格を取得したのは平成3年8月。広島県江田島市の第1術科学校での教育課程を修業し、左胸には「潜水員記章」が輝く。
約4万2千人いる海自の自衛官で、EODは約200人にすぎず、潜水時間が2万時間を超える者はさらに一握りだ。
教育課程は苛烈を極めた。2~3分に及ぶ素潜りをしたり、約25キロのダブルボンベを背負い水面をひたすら泳いだり…。
「当時の練習は肉体的にも精神的にも厳しいもので、自分の限界を思い知った」。機雷の性能や種類など爆発物の知識も頭にたたき込んだ。
任務に当たる海域の潮流が速く視界が悪いと作業は難航する。体力を消耗し、不安な気持ちにもなる。
だがEODに求められる資質は、判断力と行動力、そして必ず帰還することだ。そう自らに活を入れ、勇気を奮い起こしてきた。
「領海内の脅威を取り除き、航行船舶の安全を確保すること」を使命とし、これまでに、関西国際空港の護岸工事に先立って実施された不発弾処理に従事。東日本大震災の発生時には、海上での行方不明者の捜索・救難活動に当たった。
所属する水中処分隊で共有している心得の一つに、「やる気の失(う)せたものは去れ」とある。これからもたゆまず任務に精勤する。
(松本浩史、写真も)
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