【ビブリオエッセー】真面目に深く追究すると 「教養としてのプロレス」プチ鹿島(双葉新書、双葉文庫) - 産経ニュース

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真面目に深く追究すると 「教養としてのプロレス」プチ鹿島(双葉新書、双葉文庫)

プロレスが好きだ。25年前の私はセーラー服のまま書店で必ずプロレス雑誌を手に取った。テレビで見た昨日の試合を思い出し、あの選手は?あの技は?と疑問が湧いて止まらない。いつも『週刊ゴング』と『週刊プロレス』を買って帰り、黙々と読んだ。あの至福の時間がプロレスにのめり込む入り口になった。

その後も熱は冷めず、独身の頃は地元の大会はもちろん、遠征して観戦を楽しんだ。ビッグマッチから少人数の無料イベントまで、ありとあらゆる団体のプロレスを見て、昔の昭和プロレスはビデオや本で学んだ。

さて本書だが、読みながらプロレスファンでよかったとニンマリ。レスラーや試合、技の解説ではない。前書きが「プロレスの意味を再定義」。語られるのはプロレス哲学である。

そこでは「半信半疑力」が鍛えられるといい、学生運動を前田日明らのUWFになぞらえる。若者は旧態依然としたプロレスを打破したラディカルな思想の信者になったのだと。

プロレスにメディアリテラシーを学ぶのは難しそうだがAKB48との類似点を語る章は大いに納得した。例えば「じゃんけん大会」が「八百長ではないか?」「いや、ガチだ」で盛り上がる。要は「引き受ける力」なのだという。

興味をそそられるような話題が次々。そんな考え方もあるのかと発見も多い。プロレスから学ぶことはたくさんあると書いてあったがその通り、人生の教科書かもしれない。

今は忙しい日々に追われ、さらに新型コロナの影響もあってプロレス観戦の機会が減ってしまった。だけど、この本を読むことでひととき思い出にひたっている。プロレスの魅力を再確認できる一冊なのだ。

愛知県稲沢市 竹宮璋(42)

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