「大量破壊兵器の脅威今も」ボルトン元国連大使に聞く 米中枢同時テロ20年 - 産経ニュース

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「大量破壊兵器の脅威今も」ボルトン元国連大使に聞く 米中枢同時テロ20年

2020年2月、米デューク大で講演するジョン・ボルトン氏(ロイター)
2020年2月、米デューク大で講演するジョン・ボルトン氏(ロイター)

米中枢同時テロから20年を機に、当時のブッシュ(子)政権を国務次官や国連大使として支えたジョン・ボルトン氏(72)が産経新聞のインタビューに応じた。ボルトン氏は、同時テロが東西冷戦終結後の世界に新たな脅威を見せつけ、米国の脆弱(ぜいじゃく)さを浮き彫りにしたと指摘。米国がアフガニスタンに次いで2003年、大量破壊兵器(WMD)疑惑を理由に開戦したイラク戦争についても考えを語った。(ワシントン 黒瀬悦成)

--20年前のテロを振り返っての感想は

「テロ当日は、想定しなかった手口に驚き、続いて新たな脅威が台頭してくることへの懸念を覚えた。また、情報機関がテロの察知に失敗したことは、米国が過激なイスラム主義者だけでなくロシアや中国など多様な脅威に脆弱であることを明白にした」

「東西冷戦の終結は、1990年代に一部の人が唱えていた『歴史の終わり』を意味しなかった。同時テロがこのことを思い知らせた。冷戦終結からの約10年間、私たちは『夢の世界』に生きていたが、同時テロは違った形での『歴史の始まり』を告げたのだ」

--ブッシュ政権はWMDの拡散阻止に取り組んだ

「アフガンでは国際テロ組織アルカーイダの隠れ家で押収した文書に生物化学兵器や核兵器への言及が多数見つかった。また、イラクとイラン、北朝鮮というならず者国家がWMD計画を推進していることを知っており、これらの国がWMDを拡散させる恐れを除く必要があった。だからイラクでフセイン政権を転覆させた」

--しかし、イラクでは核開発計画に関する物的証拠は発見されなかった

「その通りだ。だが当時のフセイン大統領は『核のムジャヒディン(イスラム戦士)』と名付けた核科学者や技術者ら約3千人を国内に確保し続けていた。フセインが国連の制裁や査察をやり過ごしていたら、再び核兵器の開発と製造を目指していたのは疑いない」

--イランと北朝鮮にどう対処していくべきか

「(トランプ前政権が脱退した)イラン核合意に復帰するのは重大な誤りだ。イランの体制には圧力をかけ続ける必要がある。日本はイランとの原油取引を念頭に、(イラン核合意を支持するなど)イランと北朝鮮に対する態度を使い分けているが、核の脅威は本質的に同じだ。日本は北朝鮮だけでなくイランにも核・弾道ミサイルの開発計画を放棄するよう迫るべきだ」