「クラクション鳴らして」 子供の車内閉じ込め対応策に「なるほど」 - 産経ニュース

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「クラクション鳴らして」 子供の車内閉じ込め対応策に「なるほど」

ちくまサラさんのブログ「千曲がり奮闘記」に掲載されたマンガの1コマ(本人提供)
ちくまサラさんのブログ「千曲がり奮闘記」に掲載されたマンガの1コマ(本人提供)

福岡県中間市の私立保育園で7月末、園児が送迎バス内に取り残され、熱中症で死亡した事件に関連し、「閉じ込められてしまったら、クラクションを鳴らして」という会員制交流サイト(SNS)上の呼びかけが反響を呼んだ。事件に胸を痛める親世代の人たちなどが多い中、親が子供に簡単に教えられる対応策として「これなら子供でもできそう」などと共感を集めた。

京都府内で小児救急に携わる男性医師の「Dr.リノさん(SNSのユーザーネーム)」は事件2日後の31日、ツイッターで「もし車内に自分だけ取り残されて閉じ込められてしまったら、クラクションを鳴らして全力で周りに知らせなさい」と発信した。

これに対し、小さな子供を育てる親からは「その手があったか! これなら簡単にできそう」「わが子にも教えていきたい」と多数の反響が寄せられ、これまでに約10万の「いいね」がついた。

リノさんは以前、倒壊した家屋などに閉じ込められた場合には大きな音を出して周囲に知らせる、という災害時の対応について知り、これは自動車内に閉じ込められた際にも活用できると考えていた。

ツイッターでは普段から家庭内での事故を防ぐために気をつけるポイントや、子育て世帯の関心が高い病気に関するツイート(投稿)を続けてきた。3人の子を持つ父親で、今回の事件で亡くなった園児と自身の子供の年が近いことから胸を痛め、いてもたってもいられず投稿したという。

同じツイートでは「大きな音を立てたり窓ガラスを壊したりしても絶対に怒られないから、水筒でも何でもぶつけなさい」とも投稿した。

子供が運転席に近づいたり、ガラスをたたいたりしてはいけないと言い聞かせられていることを念頭にしたもので、リノさんは「緊急時は『怒られるかも』と思わず、周囲に自分の存在を知らせ続けることが大切だということを、子供に教えないといけない」と訴えている。

緊急時にクラクションを鳴らす呼びかけは、長崎県で2児を育てるイラストレーターの「ちくまサラ」さんも、自身のブログ「千曲がり奮闘記」

でマンガ形式で掲載。こちらもSNS上で拡散され、大きな反響があった。事件直後、夫が娘に「人が来るまで思いっきり鳴らし続けて」と教えるのを見て、「防犯ブザーを鳴らすことと同じレベルで子供に教えるべきだ」と思い、急いでマンガを描いたという。

15分で40度近く

エアコンを切った状態の車内は、短時間で一気に温度が上昇する。日本自動車連盟(JAF)が平成24年8月下旬に気温35度の屋外で行った実験では、一般的なミニバンの場合、エアコンを切ってから15分ほどで車内温度は40度近くにまで上昇。1~2時間後には50度を超えた。JAFの担当者は「短時間でも子供を車内に置いておくことは非常に危険だ」と呼びかけている。

福岡県中間市の私立保育所「双葉保育園」で事件が起きたのは7月29日。県の調査などによると、5歳の男児は午前8時過ぎ、送迎バスに乗車し、園に到着した後、車内に取り残され、約9時間にわたって車内に放置されていた。福岡県警が業務上過失致死の疑いで捜査している。

亡くなった男児が乗っていた保育園の送迎バス
亡くなった男児が乗っていた保育園の送迎バス

事件ではバス降車時の車内確認が不十分で、男児を欠席と思い込んだまま保護者への確認なども行われなかったといい、県と市は同園に対し特別監査を実施。事故防止や安全対策が不十分だったなどとして8月31日、同園に改善勧告を出した。

事件を重く見た厚生労働省や文部科学省などは同月25日付で、自治体に対して送迎バスの安全管理の徹底などを求める通知を出した。