【鬼筆のスポ魂】好調「筒香」来季はどこへ…日米争奪戦の可能性も 植村徹也 - 産経ニュース

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好調「筒香」来季はどこへ…日米争奪戦の可能性も 植村徹也

タイガース戦で適時打を放つパイレーツの筒香=ピッツバーグ(ゲッティ=共同)
タイガース戦で適時打を放つパイレーツの筒香=ピッツバーグ(ゲッティ=共同)

わずか2年の間にメジャー3球団を渡り歩いたパイレーツ、筒香嘉智外野手(29)の旅路の先には、まだまだ紆余曲折(うよきょくせつ)がありそうだ。今シーズン終了後、日米球界を股にかけた争奪戦が起こり得る。なぜなら筒香は今オフ、パイレーツから自由契約になることが決定的だからだ。

8月14日にドジャース傘下3Aのオクラホマシティーを自由契約になり、同16日にパイレーツとメジャー契約した筒香が息を吹き返した。9月8日は本拠地でのタイガース戦に「2番・右翼」で先発出場すると、三回の第2打席に左翼フェンス直撃の二塁打を放ち、これで同4日のカブス戦から5試合連続安打。パイレーツ移籍後は9月8日の試合までで56打数16安打の打率2割8分6厘、7本塁打、15打点。見事な活躍を続けている。

在籍10シーズンで通算打率2割8分5厘、205本塁打、613打点をマークしたDeNA時代(横浜から2012年に球団名変更)の強打者ぶりが突如として?よみがえったのだ。

2年前の19年オフ、ポスティングシステムを利用してのメジャーリーグ移籍後、筒香は苦しみ抜いた。レイズと2年総額1200万ドル(1年目が年俸約5億円、2年目の今季は同約7億円=金額は全て推定)で契約したが、昨季は全60試合中51試合に出場して打率1割9分7里の8本塁打、24打点に終わった。今季も開幕から打撃不振が続き、5月15日に金銭トレードでドジャースに移籍。その後も打率1割台と打撃不振が続き、自由契約となった。日本球界への復帰もささやかれる中で、それでもメジャーにこだわり続け、3球団目のパイレーツに移った。

「筒香は日本でプレーしているときから内角の速い球に苦しんでいた。メジャー移籍後は150キロ超の速い球主体で攻められ、しかもボールが微妙に動くメジャー特有の球質に対応できなかった。本人は米大リーグへのこだわりが強いが、早めに見切りをつけて日本に戻ってきた方がいい」

プロ野球関係者、OBらは異口同音に大リーグでの活躍に対する悲観的な見通しを語っていた。そうした周囲の予想を覆す活躍の裏には①打撃の始動を早めるなど、タイミングの取り方を変えて直球に対応でき始めた②左方向に流す広角打法にモデルチェンジした-などの要因があるという。

ならば、来季もパイレーツの主軸として大いに期待される…と見るのが普通だが、筒香の去就は波乱含みだ。なぜなら筒香とパイレーツの契約にはサイドレター(覚書)に「今季終了後、一度は自由契約(FA=フリーエージェント)とする」との一文が交わされているからだ。背景にはパイレーツの球団経営上では「高額年俸」となる約7億円の今季年俸がある。ほとんどは、2年契約を結んでいたレイズが支払っているが、来季もパイレーツが筒香と再契約する意向を持ったとしても、現状維持の年俸約7億円はとても払えない。球界関係者によると「パイレーツの支払える金額は年俸1億から2億円が精いっぱい」という。

それでも筒香はパイレーツと再契約を締結するだろうか…。パイレーツでの活躍を他のメジャー球団がどのように評価しているのか。筒香に対してパイレーツ以上の高額な条件を出す可能性は十分にある。さらに日本のプロ野球界からも古巣のDeNAや巨人、楽天、ソフトバンクなどが獲得を検討する可能性があるはずだ。メジャーで失敗した選手ではなく、メジャーで成績を残した選手として凱旋(がいせん)帰国することで、筒香のプライドは保たれる。

どんなに活躍してもシーズン終了後に自由契約になる筒香はどこに行く…。このまま活躍が続けば、買い手市場から売り手市場に立場、境遇は180度変わっていく。(特別記者)