ワクチン接種で制限緩和にかじ 医療現場「気が早い」 - 産経ニュース

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ワクチン接種で制限緩和にかじ 医療現場「気が早い」

日本医師会の中川俊男会長
日本医師会の中川俊男会長

政府は新型コロナウイルスのワクチン接種の進展で、感染が再拡大しても重症者や死者を抑えられると判断し、行動制限の緩和方針にかじを切った。ただ、重症者数が高止まりする現状を踏まえ、医療現場は「気が早い」と危ぶむ。ワクチン効果の持続期間や新たな変異株の流入など不確定要素もある。

今夏の第5波は、1日で約2万5千人という過去最大の感染者数を記録し、重症者も2千人超で医療の逼迫(ひっぱく)が続く。一方で、約9割の高齢者がワクチン接種を完了し、春の第4波まで顕著だった高齢者の重症化や死亡を防いでもいる。

全人口の約半分にとどまる接種が若中年層に行き渡れば、重症化を防ぐ抗体カクテル療法の活用と合わせ、感染拡大期でも重症者や死者は抑制できる見通しだ。ワクチン接種だけでの流行収束は困難とされるが、感染対策を加えれば感染者数も一定程度にとどめられる可能性が高まる。

感染の中心地である東京では、緊急事態宣言や蔓延(まんえん)防止等重点措置が4月12日から切れ目なく続き、常態化する行動制限の効果に疑問が生じている。政府はこれらの状況を踏まえて緩和方針を決定。今後、どの程度の緩和が可能かなどの具体策をまとめることになる。

脇田隆字(たかじ)・国立感染症研究所長は「マスクや手洗い、3密の回避など基本的な感染対策をしっかりしながら、ワクチンが進めばもう少し楽な生活ができる」との見通しを示した。

なお不確定要素も多い。ワクチン効果は半年から8カ月程度で弱まるとの報告があり、ワクチンが効きにくい変異株の出現も懸念される。緩和と同時並行で当を得た感染対策と医療体制の見直しは必須だ。「冬場に感染が急拡大すれば強い措置が必要になるという専門家の指摘もある」と語る厚労省幹部もいる。

緩和がすぐに始まるという誤った解釈が広がれば、気が緩み、リバウンドにつながる-。日本医師会の中川俊男会長は8日、「(緩和は)希望者へのワクチン接種が済み、地域の感染が沈静化していることが前提だ」とクギを刺した。(川畑仁志)