万博・IR視野に観光人材育成を 大商が要望書

大阪・道頓堀のグリコの前で記念撮影をする観光客ら。観光業の正常化に向けた模索が加速しそうだ=8月、大阪市中央区(永田直也撮影)
大阪・道頓堀のグリコの前で記念撮影をする観光客ら。観光業の正常化に向けた模索が加速しそうだ=8月、大阪市中央区(永田直也撮影)

大阪商工会議所は9日、新型コロナウイルスの感染拡大で壊滅的な打撃を受けた大阪の観光産業の早期回復に向けた要望書をまとめ、大阪府知事、市長に提出した。旅行者の新たなニーズを把握するための調査や、令和7年開催の大阪・関西万博や統合型リゾート施設(IR)の誘致を視野に、観光産業を担う人材育成などを盛り込んだ。

政府はワクチン接種の進捗(しんちょく)を踏まえ、緊急事態宣言地域での県をまたぐ移動の行動制限緩和などを視野に入れている。今後、観光業の正常化に向けた模索が加速しそうだ。

大商の要望書はまず、コロナ禍を通じ、観光分野を含めて消費者にはさまざまな「意識・行動変容が生じている」と指摘。大阪の観光業はコロナ禍前、インバウンド(訪日外国人客)流入で潤ったが、コロナ後は「(観光業の)従来の勝ちパターンは通用しなくなっている」と分析した。

変化した消費者ニーズを把握するために、今年度内にも「新たなマーケティング調査」を実施する必要があると主張。さらに、大阪の観光産業が目指す姿を示したビジョンや、その実現への戦略を早急に策定し、「令和4年度から可能な振興施策はただちに実施するべき」と主張した。

また大阪・関西万博の開催に向け、豊かな食文化や伝統芸能など「都市魅力のさらなる創出」に向けた取り組みや、それらを世界に発信する体制強化が必要と指摘。万博のほか、大阪府市が進めるIRの誘致実現を視野に、大阪の観光産業を支える人材育成の強化を訴えた。

具体的には、令和4年4月に開学する大阪公立大学に「観光の中核的人材と高度人材の研究教育拠点」を設置するよう求めた。

大商のツーリズム振興委員会で副委員長を務める橋爪紳也・大阪府立大特別教授は会見で「来年度はまず、大阪を訪れる国内旅行者の回復に注力し、その後、インバウンドの回復を目指したい」と語った。

大商の要望ついて、アジア太平洋研究所(APIR)の稲田義久研究統括は、海外では電子化されたワクチンパスポートを持つ人の渡航制限を緩和するなどして「観光産業をさらに急速に回復させようとしている」と指摘。「日本においても同様の取り組みを進めて、地方の観光産業の回復を後押しすべきではないか」と指摘した。(黒川信雄)