【主張】燃料価格の高騰 脱炭素の移行戦略を描け - 産経ニュース

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燃料価格の高騰 脱炭素の移行戦略を描け

原油や液化天然ガス(LNG)、石炭などの燃料価格が世界的に高騰し、ガソリンの値上がりを含め実体経済への影響が懸念されている。

新型コロナウイルスの感染拡大の中でも新興国などで燃料需要が伸びている。さらに世界的な脱炭素の進展も価格上昇に拍車をかけている。

温室効果ガスの排出削減に向けた動きは、長期的には化石燃料需要を減少させると見込まれる。

だが、足元では脱炭素で石油・ガスの新規開発が停滞している一方で、LNGなどに対する需要は根強い。現実には需給が逼迫(ひっぱく)している。

ここに来て、燃料価格は少し落ち着きをみせ始めているものの、高止まりする恐れはある。資源輸入国の日本は、価格上昇の長期化への備えが欠かせない。

米原油先物指標のWTIは、世界がコロナ禍に直撃された昨年4月に史上初めてマイナス価格を記録するなど急落したが、その後需要は回復し、今年7月初旬には1バレル=約77ドルまで一時上昇した。これに伴ってガソリン価格も値上がりし、7月初旬から8月下旬まで全国平均のレギュラー価格は1リットル=158円台で推移した。

LNGも高値圏で推移し、日本着の7月のスポット価格は100万Btu(英国熱量単位)あたり12・2ドルに達した。さらに発電用の石炭価格も史上最高値近くまで値上がりし、電気料金などへの波及は避けられない。

先進諸国では、石炭関連のダイベストメント(投資撤退)が広がっているが、5月には国際エネルギー機関(IEA)が新規の石油・ガス投資の即時凍結を求める工程表を公表して、大きな波紋を呼んでいる。

こうした世界的な流れを受けて化石燃料に対する投資を抑制する動きが強まっていけば、燃料価格が上昇しても増産できる余地は限られる。需給を調整するメカニズムが機能しなくなる懸念は十分ある。そうなれば日本も大きな影響を受けざるを得ない。

脱炭素を掲げるわが国だが、現在の電源比率はLNGと石炭が全体の7割を占める水準だ。

今年1月には世界的な寒波でLNG需要が急増し、西日本を中心に燃料不足が深刻化した。そうした厳しい現実も踏まえ、日本として脱炭素を円滑に進める移行戦略を描く必要がある。