イベントや交通機関、部活動も…制限緩和で「ウィズコロナ」 - 産経ニュース

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イベントや交通機関、部活動も…制限緩和で「ウィズコロナ」

東京・渋谷のスクランブル交差点をマスク姿で歩く人たち=9日午後
東京・渋谷のスクランブル交差点をマスク姿で歩く人たち=9日午後

新型コロナウイルス対策の行動制限に関わる基本方針が9日、発表され、今秋からはワクチン接種や検査などを条件に、制限が緩和されることになった。日常生活を取り戻し、景気浮揚などの効果が期待される一方、エンターテインメント業界や運輸業界、学校生活と、さまざまな現場で「ウィズコロナ」の新たな対策が求められそうだ。(本江希望、永井大輔、玉崎栄次)

費用増で赤字に

コロナ前は8万人の観光客がにぎわいを見せていた神奈川県箱根町の「箱根大名行列」は11月3日、規模を縮小し開催を予定している。これまで400人規模の行列が街を練り歩いていたが、25人に縮小することを7月末に決定した。政府の緩和策について、主催する箱根湯本観光協会の担当者は、「開催まで2カ月を切っており、規模拡大に舵をきることはできないだろう。町の一大イベントだが、予定しているものを確実に進めるしかない」と話した。

来場者のワクチン接種や陰性証明の確認を徹底すると、主催者側の負担は大きくなる。

愛知県常滑市で8月29日に開催された音楽フェスの密集や飲酒が問題となったことを受け、大阪・泉南りんくう公園で10月23日から2日間、開催される音楽フェス「MUSIC CIRCUS’21」は、2回のワクチン接種もしくは抗原測定キットでの陰性判定など、入場条件を決めた。主催する「TryHard JAPAN」の大付楽洋(おおつきらくよう)代表によると、1日当たりの入場者数を例年の4分の1となる5千人までとするが、全員の抗原測定キットを準備するなど感染対策の費用がかさみ、赤字になるという。「音楽イベントのイメージを取り戻し、感染のリスクを減らすには、こうするしかないと思った」と語った。

客足復活には疑問

政府の基本方針では、感染拡大地域でも、県をまたぐ移動は原則として認められることになり、交通各社も対応の見直しを求められそうだ。「実際に国からの要請を受けてから、具体的な方針を公開する予定」(JR東日本広報)などと各社は対策の準備を進める。

全日本空輸(ANA)は、政府の緩和方針について「大いに歓迎する」とコメント。国際線では渡航先の国に応じて既にワクチン接種や陰性証明を活用しており、「国の方針次第で、国際線の運用を参考にし、国内線でも検討する可能性もある」(広報担当者)という。

一方、制限が緩和されても、すぐには客足は戻らないとの見方もある。大手バス会社の担当者は、「観光用の大型バスは、主な客層である外国人観光客がいないので中止している。高速バスも現在、緊急事態宣言地域のものを中心に、中止や減便をしている。仮に規制が緩和されても、需要が戻らなければ走らせても仕方ない」と語った。

「分断」不安視

大学などでは、ワクチン接種や陰性証明を条件に部活動や課外活動が原則可能となる見通しで、学校現場も政府の動向を注視する。

神奈川県に対する緊急事態宣言発令を受け、相模原市は8月以降、市立学校の部活動を原則的に中止している。今月8日からは、ワクチン接種の予約受け付けを「12歳以上」に拡大しており、市教育委員会の担当者は「行動制限が緩和された場合には、子供のワクチン接種の進捗(しんちょく)や感染状況などを踏まえ、総合的に判断することになるだろう」と話す。

一方、埼玉県立校では緊急事態宣言中でも部活動を中止とせず、校外活動を禁止しつつも原則として平日のみ週2回実施している。県教委の担当者は「感染リスクを減らしながらも、教育活動の維持は必要。制限緩和については、県として独自に判断していきたい」と語った。

ただ、ワクチン接種や陰性証明を部活再開の条件にすることについて、学校関係者からは「接種と未接種の子供は当然出てくるわけで、学校現場に分断が生じる懸念がある。慎重に対応しなければいけない」(首都圏の教委幹部)と不安視する声も出ている。