【鑑賞眼】新国立劇場「バレエ・アステラス」 海外の若手日本人ダンサー集結 - 産経ニュース

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鑑賞眼

新国立劇場「バレエ・アステラス」 海外の若手日本人ダンサー集結

「バレエ・アステラス2021」のカーテンコール(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)
「バレエ・アステラス2021」のカーテンコール(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)

海外で活躍する若手日本人バレエダンサーたちが母国で踊りを披露する「バレエ・アステラス」(文化庁、新国立劇場主催)が8月下旬、2日間に渡って上演された。平成21年から毎年開催されてきたが、昨年はコロナ禍で中止に。今年は初日に一部、中止になった演目もあったが何とか無事、開催された。

「アステラス」とはラテン語とギリシャ語の造語で「星たち」という意味。本公演を通じ、若いダンサーたちが〝明日を照らす星〟となってほしいという主催側の願いが込められているという。

毎回、公募により選ばれたダンサーとそのパートナーが出演してきた。今回は長引くコロナ禍の影響を踏まえ、特別に現在、海外で活躍中のダンサーだけでなく、日本に帰国して3年以内のダンサーも参加することが可能となった。

「白鳥の湖」より「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊る福田侑香ら(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)
「白鳥の湖」より「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊る福田侑香ら(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)

2日目(8月29日)のみの観劇となったが、注目したダンサーたちを取り上げたい。「白鳥の湖」より「黒鳥のパ・ド・ドゥ」を踊ったロシア・カレリア共和国音楽劇場のソリスト、福田侑香(ふくだ・ゆうか)の王子を挑発するような鋭いまなざしが目に焼き付いている。

悪魔の娘、オディールが蠱惑的なほほ笑みで王子を篭絡(ろうらく)しながらも、視線を外したときにふと見せる不敵な笑み。まるで女優さながらの演技力だった。

「薔薇(ばら)の精」を踊った元ポーランド国立バレエ団(現・牧阿佐美バレヱ団ファースト・ソリスト)の水井駿介(みずい・しゅんすけ)は上半身がしなやかで、腕の動きも女性ダンサーのように柔らかく美しかった。

幻想的な雰囲気で薔薇の精を踊る水井駿介(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)
幻想的な雰囲気で薔薇の精を踊る水井駿介(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)

両日ともに最後に登場したのは、「ライモンダ」パ・ド・ドゥを踊った新国立劇場のファースト・ソリストの柴山紗帆(しばやま・さほ)とプリンシパルの渡邊峻郁(わたなべ・たかふみ)。2人とも高貴なたたずまいで役柄にぴったり。柴山は気品漂う踊りで魅了。渡邊は貴公子然としていた。

この日の第1部で、新国立劇場バレエ研修所第17・18期生と予科生による「シンフォニエッタ」も披露された。前日(28日)は研修生1人が発熱したため、大事をとって研修生全員の出演が急きょ見送られた。

「ライモンダ」パ・ド・ドゥを踊る柴山紗帆と渡邊峻郁(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)
「ライモンダ」パ・ド・ドゥを踊る柴山紗帆と渡邊峻郁(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)

のちにコロナの検査で陰性と判明し、2日目は研修生たちの出演がかなった。そのせいか昨日踊れなかった悔しさをぶつけるように若いエネルギーをみなぎらせながら、みずみずしく踊っていたのが印象的だった。

8月28、29日、東京都渋谷区の新国立劇場オペラパレス。(水沼啓子)

公演評「鑑賞眼」は毎週木曜日正午にアップします。


「シンフォニエッタ」を踊る新国立劇場バレエ研修所の研修生ら(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)
「シンフォニエッタ」を踊る新国立劇場バレエ研修所の研修生ら(新国立劇場提供、瀬戸秀美撮影)