空調大手、欧州で〝脱炭素特需〟の争奪戦 ダイキンや三菱電機 「ヒートポンプ式」 - 産経ニュース

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空調大手、欧州で〝脱炭素特需〟の争奪戦 ダイキンや三菱電機 「ヒートポンプ式」

ヒートポンプ式暖房・給湯機器を製造するベルギーの工場(ダイキン工業提供)
ヒートポンプ式暖房・給湯機器を製造するベルギーの工場(ダイキン工業提供)

ダイキン工業や三菱電機など大手空調メーカーが欧州事業の強化に乗り出す。脱炭素の取り組みを加速させている欧州では、各国が二酸化炭素(CO2)の排出量が少ない「ヒートポンプ式」の暖房・給湯機器の購入を補助金で支援する動きがあり、ガスや石油を使った燃焼暖房機器からの切り替え需要の拡大が見込まれるためだ。中韓企業も販売を強化しており、〝脱炭素特需〟の争奪戦が激しくなりそうだ。

ダイキン工業はベルギーのヘントにある研究開発センターを増強する。175億円を投じ、ヒートポンプ式の研究開発を強化するのが狙い。2023年の本格稼働を目指す。

商品開発に加え、販売網や暖房機器の据え付け・保守などのサービスも強化。25年までにヒートポンプ式暖房事業の売上高を20年比2倍の約1600億円に引き上げる計画だ。

ヒートポンプ式の暖房・給湯機器は空気中から集めた太陽熱を圧縮機(コンプレッサー)で凝縮して室内に運ぶ。自然の熱を有効利用することで、ガスや石油、石炭などの化石燃料を直接燃やす給湯・暖房機器に比べてCO2排出量を2分の1以下に削減できるという。

欧州では現在、ガスや石油を使った燃焼暖房が主流だが、欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス流行で打撃を受けた経済の再生に向けた復興基金による脱炭素政策の投資対象にヒートポンプ式への切り替え促進を盛り込んでおり、各国で同方式への補助金などの購入支援が見込まれる。

このため、三菱電機も同方式の暖房・給湯機器の生産拠点を増強する。同社はスコットランドに工場があり、英国で高いシェアを持つが、欧州全体への供給をにらみ、ルームエアコンを製造するトルコの工場にヒートポンプ式の生産ラインを新設し、来年8月に稼働させる。また、パナソニックは既にチェコで同方式の生産を始めている。

欧州でのヒートポンプ式事業では、ダイキンが市場全体の出荷台数でトップシェアを獲得しているが、各国別では欧州メーカーが強く、ドイツはボッシュ、ヴァイラント、ヴィーズマンの大手3社、フランスはアトランティックが高いシェアを握る。ダイキンはこれらの主要国でもトップシェアを目指すが、EUの脱炭素政策を好機と捉え、韓国のLG電子やサムスン電子、中国の美的集団やハイアールも欧州の販売を強化している。今後、各社の顧客獲得競争は激しくなる見通しで、国内勢も現地の販売・保守サービスの充実を急ぐ必要がありそうだ。

国際エネルギー機関(IEA)の調査によると世界の暖房給湯市場でヒートポンプ式の普及率は5%に満たない。

だが、国際的な脱炭素の潮流を背景に30年の普及率は20%近くまで拡大すると予測されており、特に環境意識が強い欧州の普及率は30年に44%、50年代に70~80%に高まると見込まれている。(黄金崎元)