いまさら聞けない「メタバース」 いま仮想空間サービスが注目される“3つの理由”(1/2ページ) - 産経ニュース

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いまさら聞けない「メタバース」 いま仮想空間サービスが注目される“3つの理由”

「セカンドライフ」の仮想空間(公式Webページより)
「セカンドライフ」の仮想空間(公式Webページより)

オンラインに構築された3DCGの仮想空間。人々は世界中から思い思いのアバターで参加し、それをもう一つの「現実」として新たな生活を送る――そんな仮想空間のアイデアは、これまでさまざまなSF作品で描かれてきただけでなく、現実のサービスとしても提供されてきた。そして最近、こうした仮想空間への注目が再び高まっている。キーワードは「メタバース」だ。

メタバース(metaverse)とは、英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語。もともとはSF作家ニール・スティーヴンスンが1992年に発表した作品『スノウ・クラッシュ』に登場する、架空の仮想空間サービスに付けられた名前だった。その後、テクノロジーの進化によってさまざまな仮想空間サービスが登場すると、それらの総称としても使われるようになった。

2000年代に一世を風靡したサービス「セカンドライフ」も、あるいは2020年に発売され、瞬く間に人気を博したNintendo Switch用ゲーム「あつまれ どうぶつの森」も、メタバースの一つであるとされている。

ただ最近のニュースで「メタバース」という言葉が使われる場合、そこにはいくつか付加的な意味が込められているように思われる。それは仮想空間サービスへの注目が再燃した理由にも関係しているのだが、ここでは主なものとして、3つの要素を挙げてみたい。

VR空間上でのコミュニケーションの活性化

1つ目は、仮想空間そのものをより充実させるような技術の進化だ。その中には当然、端末のハイスペック化やネットワークの高速・大容量化も含まれるが、特に重要なのは、近年急速に高度化しつつあるVR技術の活用である。

VR技術により、3DCGを単に平面のスクリーン上に表示させるだけでなく、専用ゴーグルを通じて仮想空間の中にいるような視覚体験や、コントローラーだけでなく身振りや手ぶり、顔の表情などを通じてアバターを自由に操作することが可能になった。つまり仮想空間の中で、より自然なコミュニケーションを、より手軽に行えるようになっているわけだ。

こうした進化はプライベートなコミュニケーションを充実させるだけでなく、ビジネス上でも有益なものとして注目を集めている。例えばFacebookは、2014年に買収したOculus社のVR技術を活用した、メタバース・サービス「Horizon Workrooms」を2021年8月に開設している。

Horizon Workrooms
Horizon Workrooms

Workroom(仕事場)という名前からも分かるように、これはバーチャル会議などビジネスでの活用が念頭に置かれている。参加者は身振り手振りなどを通じてアバターを操作でき、また端末をペンのように使って図を描くなど、より実際の会議に近いコミュニケーションを仮想空間で行えるようになっている。

NFTによる仮想空間上での経済活動

2つ目の理由も技術に関係したものだが、対象は仮想空間そのものではなく、その中で行われる経済活動を補完するような技術の発展だ。

これまでも仮想空間サービス内で経済活動を行い、それを現実の世界とリンクさせる事例は存在した。例えば、ゲームで使用するアイテムや「不動産」(ゲーム空間内の一区画や構造物のデータ)を、ゲーム内で流通している通貨で売買し、それを現実の通貨に換金するといった具合だ。それは多くの人々を引き付けてきたが、従来よりも高度な経済活動が定着する可能性が現れてきている。

21年4月、「Everydays - The First 5000 Days」と名付けられたデジタルアート、つまり物理的な実体を持たない芸術作品が、約6935万ドル(約75億円)で落札されたことが報じられた。しかし人々が関心を寄せたのはその額だけでなく、NFTの技術が活用されていた点だった。

日本円にして約75億円で落札されたデジタルアート「Everydays」(クリスティーズのWebサイトより)
日本円にして約75億円で落札されたデジタルアート「Everydays」(クリスティーズのWebサイトより)