「実質的にゼロからスタートの政権」 登利谷正人・東京外大講師(南アジア地域研究) - 産経ニュース

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「実質的にゼロからスタートの政権」 登利谷正人・東京外大講師(南アジア地域研究)

登利谷正人・東京外語大講師
登利谷正人・東京外語大講師

アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンによる暫定政権発足について、登利谷(とりや)正人・東京外大講師(南アジア地域研究)は以下のように分析している。

暫定政権の閣僚人事で、首相代行にタリバン結成時からの古参メンバーであるアフンド師が起用されたが、その他の重要ポストには予想された人物が任命された。タリバンは旧政権(1996~2001年)ではアフガニスタン全土を支配しておらず戦闘を継続していた。まともな統治の経験が不足しており、今回の政権は実質的にゼロからのスタートといってよい。

構成は旧政権の閣僚経験者、カタールでガニ政権や米国と交渉してきた政治部門、国軍や米軍などと戦ってきた戦闘部隊の中心人物からなる。旧政権の幹部やタリバン創設者の近親者らが中枢を占める一方、穏健派とされる政治部門のメンバーを副首相や外相など重要ポストに配置した。出身地域のバランスにも配慮し、内部のまとまりを重視したことがうかがえる。

タリバンは旧政権の失敗を学んでおり、治安維持と社会・経済の安定が最優先課題だ。外交上の承認と投資を得るために、海外への刺激は避けたい。対抗勢力を徹底的に弾圧した旧政権と比べ、女性がデモを行えること自体が、欧米諸国からどう見られているかをよく理解しているといえる。

最強硬派「ハッカニ・ネットワーク」指導者の内相代行就任が注目されるが、過去20年、戦闘部隊の中心にいた人物であり、起用は当然だろう。ただ、こうした人事を欧米諸国が警戒し、外交的な承認が遅れる可能性はある。