【朝晴れエッセー】少年と私・9月8日 - 産経ニュース

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朝晴れエッセー

少年と私・9月8日

K君は小学5年になり、委員会活動が始まったり授業時間数が増えたりで今年度から帰りが遅く、会う機会も少なくなった。

最初の出会いは、2年前の春だった。私は3月中旬、現役後に8年間勤めた仕事を完全に辞め、毎日が休日となっていた。

趣味のない自分が何をしようかと考えつつ庭を見ると、20年以上前の新築時に設置したウッドデッキが老朽化し、所々が腐食していた。

「これだ。これからは毎日時間が十分にある。(『北の国から』の)『黒板五郎』のように家は建てられないが、デッキの改修なら自分でもできそうだ」と思い、準備に取りかかった。

「こんにちは。何をしているのですか」と声をかけてきたのがK君だった。

「これからこの古いデッキを取り壊し、新しく作り直そうと思っているんだ」

「シロアリにずいぶん食べられていますね」と、大人びた会話から始まった。

雨の日と土・日を除き少しずつ作業を開始した。K君は毎日学校から午後3時前に帰ってきて、寄っていく。

塾や水泳教室があり、長い時間はいなかったが、機械が好きで電動ドライバーやサンダーも教えるとすぐに習得し、進んで手伝ってくれた。危険な工具は帰ってくる前に終わらせておいた。

今まで、平日の昼間に家にいることがなく、近所にいる子供たちは全く知らなかったので新鮮だった。

K君が中学・高校と年齢を重ねていくと、今よりも会う機会が少なくなるかもしれないが、時々は話をして近況を聞きたいと思っている。

戸田義人 71 神奈川県横須賀市