みずほ銀行と三井住友銀行から融資を受けた免税店運営会社が追徴課税処分の当日、2行の債権保全を図ろうと同社の本社ビルなどに「根抵当権」設定登記をさせたため、徴収税額が約7億円減ったとして、国が2行に抹消手続きを求めた訴訟で、東京地裁(小田真治裁判長)は8日、国の主張を認め、2行に登記の抹消を命じた。
訴状によると、東京国税局は平成29年6月30日、「宝田無線電機」(東京)に対し、不正な消費税の還付申告をしたとして重加算税を含む約104億9千万円を追徴課税した。
一方、消費税の還付金を見込んで最大計50億円を同社に融資する契約を締結していた2行は、同社への税務調査を受けて同3月、根抵当権設定に関する条項を追加。追徴課税処分のあった6月30日、本社ビルなどに根抵当権を設定した。
東京国税局は29年9月12日、租税徴収のため同社の各不動産を差し押さえた。ただ、国税徴収法は納税期限前に抵当権を設定した債権者が優先されると規定しており、本来の徴収額より減少した、としている。