農林水産省は8日、輸入小麦の政府売り渡し価格を10月から主要5銘柄の平均で前期(今年4月期)から19%引き上げ、1トン当たり6万1820円にすると発表した。国際相場の値上がりなどが要因で、6万円を突破するのは平成27年4月期の6万70円以来。引き上げ率は比較できる19年4月期以降では20年4月期の30%に次いで2番目の高さとなった。
今回の改定は直近6カ月(3月第2週~9月第1週)の平均買い付け価格の上昇によるものだ。小麦の国際価格は年初から続く中国の買い入れ拡大やトウモロコシ価格高騰で飼料用小麦の需要が高まったことに加え、6月以降に米国やカナダの小麦産地で発生した高温乾燥による作柄悪化も影響した。さらに、輸送需要が回復する中での海上輸送費の高止まりや円安に振れた為替も影響した。
小麦の政府売り渡し価格は平成19年4月期から変動相場制へ移行し、毎年4月と10月の年2回、価格改定が行われている。これまでの最高値は20年10月期の7万6030円。
農水省によると、国内製粉メーカーは改定から約3カ月程度で販売価格を変更する傾向にある。同省試算では、今回の引き上げ率19%が製品価格に全て反映された場合、小売価格268円の家庭用薄力粉(1キログラム)では14・1円の値上げ影響を、消費者物価指数は0・016%程度の影響を受けるという。