【百貨店美術部】アート市場で首位 贋作事件も信頼武器に(1/2ページ) - 産経ニュース

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百貨店美術部

アート市場で首位 贋作事件も信頼武器に

アートに親しむ施設といえば、学校でも習う著名な画家や彫刻家の作品をじかに見ることのできる美術館・博物館が真っ先に上がるに違いない。では、その次は? 美術館級の作品も扱う街中のギャラリーだろうか。いやいや、もっとおなじみのスペースが身近に存在している。それが百貨店の中にある美術画廊だ。

百貨店が奪取

たとえ、美術館に収められているどんな名品であろうと、美術品は商品になって取引されるときには値段がつけられる。そうして世界中で取引されている美術品の市場は年間7兆円規模で推移しているという。

その7兆円の中には、暮らしに潤いを与えるために飾る絵画や彫刻の代金もあれば、富裕層が美術品を投機対象として取引する金も含まれる。

「日本のアート産業に関する市場調査」を実施している「一般社団法人アート東京」は今年3月、「一般社団法人芸術と創造」と共同で調査した昨年の美術品の国内市場規模を2363億円(推計)と発表した。平成28年から約2万人を対象に購入動向も調査。2363億円のうち、国内事業者からの購入は1929億円で、なかでも「画廊・ギャラリー」と「百貨店」が毎年2本柱となっている。

過去4年はいずれも画廊・ギャラリーが百貨店を上回っていたが、昨年、初めて僅差ながら百貨店(673億円)が画廊・ギャラリー(672億円)をしのいだ。アートを買うなら百貨店で、というのが購入層の主流になってきたということなのだろうか。

贋作と信頼

「とにかく百貨店の美術画廊に対する信頼は大きい」というのは、ある大手画廊の広報担当者だ。

ところが今年2月、平山郁夫や東山魁夷(かいい)、片岡球子(たまこ)といった日本画の巨匠たちの作品をもとにした版画の贋作が、画商や百貨店に相当数出回っていたことが明らかになった。

日本現代版画商協同組合によると、大阪の画商が著作権者に無断で3人の作家の10作品を複製して販売。真贋(しんがん)を鑑定した専門機関が5月の時点で120点が贋作だったと発表している。この事件をめぐっては、業界の調査委員会が4月に著作権法違反容疑などでの告発状を警視庁に提出し、警視庁は関係先を家宅捜索するなど捜査を進めている。

信用が売りの百貨店にとって、致命的な打撃になるとも思われた贋作事件だったが、ここで大手百貨店は、疑いのある作品をいったん購入者から預かった。そして鑑定機関でチェックさせ、不都合のあるものは販売価格で引き取るなどの措置をとった。

「偽物を売ってしまったという問題は残るものの、きちんと調べてアフターケアをする。百貨店の商売は信用が大切といわれますが、アートも同じでしょう」と前出の広報担当者はいう。