ホテルの玄関をくぐると、そこは非日常の空間だった。雪見障子(ゆきみしょうじ)や欄間(らんま)といった和の建具が懐かしさと新しさを感じさせる。
築100年以上の古民家を改修し、人気を集めるホテルが福岡県八女市にある。「NIPPONIA HOTEL(ニッポニアホテル)八女福島 商家町」。茶葉の産地として有名な八女で、伝統家屋に滞在しながら、お茶をテーマとした食やイベントを楽しむ。価格は1人1泊2食付きで週末は大人3万8千~5万円程度。平日でも2万~3万円台と八女では異例の高価格だが、コロナ禍の今も予約が絶えない。
客室は「喜多屋別邸」という1棟に3室、もう1棟の「旧大坪茶舗」に4室の計7室。この小規模・分散型の形態が、コロナ禍の下でも安全に旅を楽しみたい人たちの心理にプラスに働いた。
令和2年4月と6月に2棟がオープンした。事業を主導したのは観光事業者でも行政でもなく、地元の八女商工会議所だ。