「入国時検査、おかしかった」。ウガンダ選手団通訳語る - 産経ニュース

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「入国時検査、おかしかった」。ウガンダ選手団通訳語る

講演でウガンダ選手団との交流を振り返る椎谷健一さん=大阪府泉佐野市
講演でウガンダ選手団との交流を振り返る椎谷健一さん=大阪府泉佐野市

東京五輪にあわせ、ウガンダ選手団の事前合宿を受け入れた大阪府泉佐野市で、現地から通訳などとして付き添った同市ウガンダ駐在調整員の椎谷(しいや)健一さん(41)が講演し、交流を振り返った。選手団に新型コロナウイルスの陽性者が出て練習開始が遅れ、選手1人が行方不明になるなど、次々とトラブルに見舞われる中で目にした選手らの苦悩や涙を語った。

椎谷さんは、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加して平成16年からウガンダで暮らし、教員などとして活動。同市がウガンダ北部グル市と友好都市になり、五輪ホストタウンに登録されたため、30年4月から泉佐野市職員として現地関係者との調整などに携わってきた。

来日時に混乱

講演は市管理職を対象にした研修の中で行われ、椎谷さんはまず、「不確定要素が多かった」という選手団9人の来日状況を説明。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ経由で関西国際空港に到着する予定だったが、UAEがコロナの影響でウガンダからの便を停止し、代わりの出発便が決まったという連絡が「離陸の40時間前だった」と混乱ぶりを語った。

成田空港行きの便で6月19日夜に来日したが、入国時の検査でコーチ1人の陽性が判明。椎谷さんは内閣官房の担当者に「他のメンバーは濃厚接触者になるのでは」と3度聞いたが、「他のメンバーは陰性が出たのでコーチの結果を待たずに移動してかまわない」と同じ答えだったという。

「(感染防止のために選手や関係者と外部の接触を絶つ)『バブル方式』といっているのにおかしい」という椎谷さんの懸念は当たり、残る選手団と椎谷さんは泉佐野市到着後に濃厚接触者と判定され、選手1人が陽性に。感染防止のあり方に疑念が広がった。

7月7日に練習を開始できるまでホテル待機を余儀なくされた選手からは「こんなことをしている場合じゃない。出してくれ」という焦りの声も上がった。近くのこども園で園児が自作のウガンダ国旗を掲げたのが見え、ホテルの窓から手を振った。「あれが精いっぱいできる交流だった」

不明選手から書置きも

同16日には重量挙げのジュリアス・セチトレコ選手(21)がホテルから行方不明に。「生活が厳しい国には戻らない。日本で仕事をしたい」という書き置きは椎谷さん宛てだった。「選手に近い立場にいたにもかかわらずこんなことが起こったのはとても残念」と衝撃を振り返った。

セチトレコ選手は同20日に三重県内で保護され、帰国。「彼は(東京の)警視庁渋谷署で説得されているとき、大粒の涙を流していた。ウガンダの重量挙げに貢献したいと話していた」。ウガンダでは同選手の苦境に同情する世論が強く、スポーツ関係者への支援を拡充する動きにもつながっているという。

講演を聞いた千代松大耕(ひろやす)市長は「ウガンダとの交流を時代が変わっても続けていきたい」と語った。

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