【がん電話相談から】乳がん治療で妊娠が難しくなる? 再発リスクも踏まえ判断を - 産経ニュース

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がん電話相談から

乳がん治療で妊娠が難しくなる? 再発リスクも踏まえ判断を

Q 32歳乳がん患者の母です。昨年12月に左胸のしこりに気づき総合病院を受診したところ、乳がんと診断されました。リンパ節転移もあり、ステージⅢbでした。左乳房部分切除と脇の下のリンパ節郭清術のあと、今年1月から術後化学療法(抗がん剤治療)を受けました。今後は放射線治療と、がんの増殖を抑えるためのホルモン剤の内服を始める予定です。現在、娘にパートナーはいませんが、ホルモン療法の影響で将来、子供を産めなくならないか心配です。

A すでに投与を終えた化学療法で、卵巣機能は影響を受けており、今は月経も止まっているのではないかと思います。年齢は32歳とお若いので、この先、月経が回復することも期待できますが、このまま閉経になってしまう可能性や、月経が回復しても、妊娠が難しい可能性もあります。化学療法前に、妊孕(にんよう)性(妊娠する能力)の維持策として卵子や卵巣組織を凍結保存しておくという方法もあったのですが、その説明はありましたか。

Q 化学療法で卵巣機能が落ちるという説明はありました。卵子の凍結保存についても説明を受けましたが、本人も納得して卵子の凍結保存はせずに治療を優先することにしました。

A 十分に説明を受けて、納得して選択したということですね。あとは、治療の影響から回復して、自然妊娠できる可能性に期待するということかと思いますが、もし化学療法の影響から回復したとしても、このあと行うホルモン療法の影響も考える必要があります。少なくとも、ホルモン療法中の妊娠は、胎児への影響(催奇形性)もあるため、避けなければいけません。お子さんを持ちたいと考えるのであれば、妊娠を試みる数カ月以上前にホルモン療法を中止する必要があります。

Q ホルモン療法を中止すると、がんが再発しやすくなるのでは。

A タモキシフェン(商品名・ノルバデックス)などのホルモン療法は、5年または10年内服するのが標準的です。1年間や2年間だけの内服でも再発を減らす効果はありますが、5年以上、内服する場合に比べると、効果が劣ります。

期間を短くすれば、その分、再発率が高くなるということです。たとえ再発率が高くなるとしても、お子さんを持つことが大事と考えるかどうか、最終的には、ご本人の価値観に基づいて判断することになります。妊娠するためにホルモン療法を中止しても、妊娠できるとはかぎらないということも考慮する必要があります。

Q 娘のがんの再発を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。

A これまで、標準的な治療をきちんと受けておられますので、このあとホルモン療法をきちんと受ければ、現在考えられる最善の治療を受けているということになります。再発の可能性ばかり考えるのではなく、やるべきことはやっていると考えて、普通の生活を取り戻していくことも重要です。

お母さまもご心配でしょうが、少しずつ、病気以外のことを考えたり、話したりする時間を増やしていくとよいと思います。これから、3カ月に1回程度の通院になると思いますが、病院に行くときだけ病気のことを思い出すくらいになるのが理想です。

回答は、がん研有明病院乳腺内科部長、高野利実医師が担当しました。

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