【サッカー通信】なでしこ高倉監督が歩んだ「いばらの道」 日本に学んだ世界の壁厚く(1/2ページ) - 産経ニュース

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なでしこ高倉監督が歩んだ「いばらの道」 日本に学んだ世界の壁厚く

東京五輪サッカー女子準々決勝 スウェーデン戦の前半、指示を出す高倉麻子監督=埼玉スタジアム(蔵賢斗撮影)
東京五輪サッカー女子準々決勝 スウェーデン戦の前半、指示を出す高倉麻子監督=埼玉スタジアム(蔵賢斗撮影)

サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督(53)が、8月末の契約満了をもって退任した。2016年4月の就任から戦い続けた相手は、11年ワールドカップ(W杯)ドイツ大会を制したなでしこに刺激を受けて急成長を遂げた世界。困難な戦いに挑んできた指揮官は、「2011年になでしこがまいた種が世界で花を咲かせていて、そこに今の日本が挑戦している」と5年あまりの激闘を振り返った。

退任会見で無念さは隠しようがなかった。世界一を目指しながら19年W杯フランス大会は16強、今年の東京五輪は8強で戦いを終えた。「W杯と五輪で思ったような結果が出ず、私自身の力のなさを感じた。世界大会の勝負どころで勝ち切れず、ずっと悔しい思いを持っていくんだろうな」と胸の内を明かした。

女子サッカーのレベルが急激に上がる中でいばらの道になることは分かっていた。契機になったのは高い技術と組織力を武器に11年W杯優勝、12年ロンドン五輪と15年W杯カナダ大会準優勝と黄金期を築いたなでしこ。監督就任時はただでさえフィジカル面で圧倒的優位に立つ欧米勢が、なでしこを参考に技術と組織力を高めていく最中だった。

なでしこが世界を引っ張っていた当時、身体能力を前面に押し出すスタイルが女子サッカーの主流だった。なでしこのような組織的なパスサッカーを志向していたのはフランスなど一部で、長く世界を引っ張る米国のほか強豪のドイツもロングボールを蹴り込んでアタッカー陣の個人能力に頼るシーンが目立った。

しかし、なでしこの躍進を機に欧米勢は優れた身体能力はそのままに技術を磨き、攻守に組織力をいかした戦い方を導入。なでしこの優位性はみるみるうちに削られていった。それは多彩なコンビネーションを武器に世界の強豪に君臨した男女のバレーボール日本代表が、より高く、パワフルな世界に組織的な戦い方を模倣されて優位性を失ったのと同様の構図だった。