カギ握る党員票 河野、石破両氏の動向が左右 - 産経ニュース

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カギ握る党員票 河野、石破両氏の動向が左右

自民党総裁選(17日告示、29日投開票)では、国会議員票と同数の383票を割り当てられた党員・党友票が勝敗のカギを握る。次期衆院選を目前に控え、党所属の国会議員も民意がにじむ党員票の行方を無視できないからだ。

「国民、さらには党員の判断は国会議員の判断に影響してくる。国民、党員に向けてしっかり発信していくことが何よりも大事だ」

総裁選出馬を表明している岸田文雄前政調会長は6日のテレビ朝日番組でこう強調した。4、5両日には沖縄県議らとのリモート会合やネット番組への出演をこなし、知名度の向上を図った。

今回の総裁選は、国会議員票の383票と党員・党友票の383票の計766票で争う「フルスペック」で実施される。党員票は「世論調査の結果が反映されやすい」(閣僚経験者)との指摘もあり、岸田氏は危機感を募らせている。立候補を表明した高市早苗前総務相も党員向けの政策ビラ作りに汗を流す。

岸田氏らの念頭には、人気の高い河野太郎ワクチン担当相や石破茂元幹事長が参戦すれば、多くの党員票を奪われかねないとの懸念がある。共同通信社が4、5両日に行った世論調査では、自民党総裁候補のうち次期首相にふさわしい人物を尋ねたところ、自民党支持層のうち河野氏が37・1%、石破氏が23・3%を占め、岸田氏は20・7%と3位となった。

党内でも、党員票の行方に気をもむ議員は多い。党本部は都道府県連ごとに受け付ける党員票の集計結果を投開票日まで明らかにしないが、閣僚経験者は「大半の県連では、前日までに傾向が分かる。自らの選挙区の動向が分かる場合もある」と打ち明ける。

複数の候補が乱立しそうな今回の総裁選は、党内各派の領袖による締め付けが効きづらい現状もある。目前の衆院選も加味すれば、党員票の行方が国会議員の投票行動に影響を与えやすい状況ともなっている。

党員の投票行動は、これまでの総裁選でも数々の番狂わせを演出してきた。平成13年には、ほとんどの都道府県の予備選を制した小泉純一郎元首相に国会議員の支持が集中。劣勢との下馬評を覆し、最大派閥の領袖だった橋本龍太郎元首相に圧勝した。

当時、小泉氏は国民的人気を誇った田中真紀子元外相と全国遊説を行い、熱狂的なブームを起こした。しかし、21都道府県に新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されている今回は、地方行脚が批判を招きかねない事情もある。

党幹部は「候補者はテレビ番組や報道各社が開く討論会に出るくらいが関の山だろう」と話す。岸田氏らはSNSによる発信も増やし、党員に直接訴えを届けようと腐心も重ねている。(永原慎吾)