「万博で共生社会発信を」パラクライマーの小林幸一郎さん(1/2ページ) - 産経ニュース

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「万博で共生社会発信を」パラクライマーの小林幸一郎さん

小林幸一郎さん
小林幸一郎さん

日本勢が計51個のメダルを獲得し、閉幕した東京パラリンピック。今大会では実現しなかったが、2028年大会での種目採用が期待されているパラクライミングの国内第一人者、小林幸一郎さん(53)=東京都武蔵野市=は、7年後の大会ではなく4年後の2025年大阪・関西万博を見据える。現在、東京を中心に開催中の、障害のある人とない人がともに楽しむクライミングイベントの輪を25年までに全国に広げ、「『クライミングを通じたダイバーシティ未来社会の実現』を世界に発信したい」と話した。

パラクライミングの視覚障害クラスで、世界選手権4連覇中と、競技者としてもトップを走る小林さん。だが、東京パラリンピックには「特別な感情はあまりない」という。「東京パラそのものより、この大会で共生社会の実現を目指したトップアスリートの姿を目の当たりにした日本が大会後にどう変わるのか、注目している」

16歳でクライミングを始めた小林さんが、難病の網膜色素変性症と診断されたのは28歳のとき。アウトドア会社で働き、休みの日はクライミングを満喫する生活を送っていたが、見えづらさを感じて受診した眼科で「進行性で、将来は失明します」と突然宣告された。

2019年にフランスで開催されたパラクライミング世界選手権の視覚障害男子B1クラスで4連覇を果たした小林幸一郎さん(モンキーマジック提供)
2019年にフランスで開催されたパラクライミング世界選手権の視覚障害男子B1クラスで4連覇を果たした小林幸一郎さん(モンキーマジック提供)

絶望の中で出合ったのが全盲で世界最高峰エベレストに登ったクライマー、エリック・ヴァイエンマイヤーさんの著書。連絡を取り、米国で一緒に岩を登った。両目が義眼のエリックさんが、自分と同じように高さ20メートルほどの岩を登る姿に、衝撃を受けた。

より高く、難しいルートの攻略を目指すという競技性の一方、それぞれの目標に向かう自己達成型のスポーツでもあるクライミング。小林さんの場合、視力は20年ほどかけてゆっくりと失われていったため、「その時の自分にできるクライミングを、探りながら楽しんだ」。