【堀内恭彦の一筆両断】暴力団トップへの極刑判決 今こそ総合的な対策を(1/2ページ) - 産経ニュース

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堀内恭彦の一筆両断

暴力団トップへの極刑判決 今こそ総合的な対策を

特定危険指定暴力団工藤会トップの野村悟被告らへの判決が言い渡された福岡地裁=8月24日午前
特定危険指定暴力団工藤会トップの野村悟被告らへの判決が言い渡された福岡地裁=8月24日午前

去る8月24日、市民が襲撃された4事件の首謀者として殺人罪などに問われた北九州市の特定危険指定暴力団・工藤会のトップに対し、福岡地裁は死刑を言い渡した。判決は直接証拠がない中で多くの関係者の証言から「厳格な上意下達の組織性」があるとし、「トップの承諾なく組員が重大事件を起こすことは考えられない」との立論で指揮命令を認定した。

まだ一審段階の判決であり、今後、高裁、最高裁へと審理が続くと思われるが、この判決が今後の暴力団捜査の武器となる可能性はある。

しかし、暴力団側もますます組織の隠蔽(いんぺい)を図り、情報統制や証拠隠滅を徹底するなど、いわゆる「マフィア化」を加速させていくであろう。これに対応するには何よりも新たな立法も含めた総合的な暴力団対策が急務である。

暴力団対策で最も効果があるのは言うまでもなく「逮捕・検挙」。しかし、警察も法律の範囲内でしか動けないので、現状は情報を得ることが難しく、なかなか犯人検挙に結びつかない。そこで「情報を得るにはどうすればいいか?」という発想で、暴力団がマフィア化していくのであれば、諸外国のマフィア対策法を取り入れるなど新しい捜査手法を導入すべきである。

例えば、組織のことを話せば刑を軽くするという「司法取引・刑事免責」、身分を隠して組織に潜入する「おとり捜査」、電話での会話をキャッチする「通信傍受要件の緩和」などである。

また、暴力団の資金源を断つことも重要となる。海外の一部ではマフィアの金はマフィア側が「違法な収益ではないこと」を立証しない限り、没収や課税が可能とされている。日本でもこのような没収・課税制度を作ることによって資金源を断つことが容易になる。さらに、米国には「RICO法(米国組織犯罪規制法)」があり、犯罪組織のメンバーというだけで逮捕される。マフィアの存在そのものを非合法化しており、日本でも一考に値する。