【書評】『20の古典で読み解く世界史』本村凌二著 - 産経ニュース

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書評

『20の古典で読み解く世界史』本村凌二著

個人が得る経験はせいぜい100年だが、世界史を学べば人類の持つ経験は5000年に広がる。そう説くローマ史研究の第一人者が、古代から20世紀までの20の文学作品を、歴史的背景を軸に解説する。

ホメロスの2大作品『イリアス』と『オデュッセイア』の人物造形の違いから浮かぶ古代史の転換期。司馬遷『史記列伝』にうかがえる「国家や社会の秩序を乱した時点で罪」という中国の伝統的思考は、20世紀の魯迅『阿Q正伝』にまでつながっている。島崎藤村の『夜明け前』にみる近代日本誕生時の空気感など、博学の西洋史家の読みがさえる。(PHPエディターズ・グループ・2013円)