【聞きたい。】朝日順子さん 『ルート66を聴く アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか』(青土社・1980円)体験交えた路上の音楽史 - 産経ニュース

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朝日順子さん 『ルート66を聴く アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか』(青土社・1980円)体験交えた路上の音楽史

朝日順子さん(本人提供)
朝日順子さん(本人提供)

アメリカを横断する旧国道「ルート66」。中西部のシカゴから西海岸に続く長い道は冒険と可能性を秘め、さまざまな民の移動とともに、成功を目指すミュージシャンたちの夢を運んできた。彼らの歌、ロードソングはアメリカの縮図でもある。

「直訳すると、『路上の歌』。知名度を上げるためにバスで全国を回る。そのときどきの喜びや悲哀を歌にした。つましくても力強く、勇気をもらえる曲が多い」。ブルース、カントリー、そしてロック。名曲が生まれた背景と歌詞に隠された意味からアメリカの魂を探った。

シカゴ、同じ中西部のセントルイス、東部のメリーランド州、首都ワシントンDCで10年近く暮らした。編集や翻訳、日本人向けの英語教育を経験。帰国後、何か事業で自分をアピールするならと洋楽の歌詞解説の動画作成に取り組んだ。

西部へ移動を強制された先住民。小説『怒りの葡萄(ぶどう)』で描かれた、砂嵐を逃れてカリフォルニアに移住する一家。そうした旅を体験したフォーク歌手ウディ・ガスリーと彼に憧れたボブ・ディラン。

「ゆかりのある先人が時間、空間を超えて縦横に交差する。その世界観に憧れて東部から山脈を越えていく人生もまた面白い」

成功しても名声に悩み、故郷に戻る人もいれば、地に足を着けて報酬を社会に還元する人もいる。「世間の目にさらされても、平常心をいかに保つか。自分の軸をどこに置くか。ミュージシャンの生き方が参考になる」。そうした彼らのライブ演奏を見てきた経験を書きつなぐと一つの音楽史になることにも気づいた。

今のアメリカの姿も盛り込んだ。「社会の分断はさらに進んでいる。日本で伝えられている以上に複雑。意見が違っても存在は否定できない。共存できる社会とはどのようなものか」。これからのアメリカにも注目している。(蔭山実)

【プロフィル】朝日順子

あさひ・じゅんこ 昭和45年、千葉県生まれ。上智大文学部英文学科卒。翻訳家、編集者、音楽ライター。イベントなどで洋楽の歌詞解説を手がける。著書に『ビートルズは何を歌っているのか?』など。