「WeThe15」東京から始まった人権運動、形作ったレガシー - 産経ニュース

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「WeThe15」東京から始まった人権運動、形作ったレガシー

記者会見するIPCのパーソンズ会長(右)と大会組織委の橋本聖子会長=5日午前、東京都江東区のメインプレスセンター
記者会見するIPCのパーソンズ会長(右)と大会組織委の橋本聖子会長=5日午前、東京都江東区のメインプレスセンター

東京パラリンピックでは、世界の15%を占めるとされる障害者約12億人への差別をなくす人権運動「WeThe15」が展開された。世界に残る障害者の雇用や教育機会の喪失などの問題に対し、国際パラリンピック委員会(IPC)は「スポーツの枠を超え、変革を促す」として会員制交流サイト(SNS)などでPR。選手も「差別や偏見を打ち破ろう」などと投稿し、「共生社会」を目指す大会のレガシー(遺産)を形作った。

「スポーツを通じ、世界の障害者12億人に声を上げる機会を与えたと思う」

5日、閉会式前の記者会見で、運動の成果をそう語ったIPCのパーソンズ会長。新型コロナウイルス禍で満足な対応を受けられないなど、社会に取り残された障害者の存在に触れながら、「運動が始まった今こそ、彼らの声に耳を傾けるべきだ」と訴えた。

運動は先月19日、パラ大会開幕前に始まった。国際障害者同盟(IDA)や国連機関などの国際組織と連携し、今後10年間でイベントやSNSを通したキャンペーンを展開。障害者が暮らしやすい設備環境(アクセシビリティ)の改善など毎年テーマを1つ決め、共生社会の実現に向けた取り組みを具体化していくという。

大会中、賛同した選手らがインフルエンサーとして公式ツイッターにビデオメッセージを投稿。陸上男子100メートル(義足T63)銀メダルのブラジル代表、ビニシウス・ロドリゲス(26)は「障害へのタブーと偏見は破るためにある。東京大会からより良い世界をつくろう」と語った。

「世界に障害への気付きを与える運動だ」と評価したのは、大会最年少の競泳女子ウガンダ代表、フスナ・ククンダクウェ(14)。生まれつき右前腕がなく、社会に溶け込めなかった過去を明かし、「障害を隠さずに生きられる社会にしよう」と訴えた。

開幕前には、東京スカイツリーなど世界125以上のランドマークが障害者のシンボルとされる紫色に点灯。SNS上には大会中、「WeThe15の15って何」など関心を示す投稿も多く見られ、運動は一定の広がりを見せた。

「(運動が始まった)東京は史上最も重要な大会だった」と総括したパーソンズ氏。大会が生んだレガシーにも言及し、「共生社会を作る機運が生まれた素晴らしい大会だったが、ここからが始まり。12億人を社会の中心に据えられるように努めたい」と語った。(桑村朋)

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