5日に車いすマラソン 鈴木朋樹に恩師「自分の走りを」 東京パラ - 産経ニュース

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5日に車いすマラソン 鈴木朋樹に恩師「自分の走りを」 東京パラ

【東京パラリンピック2020】<陸上 400メートルユニバーサルリレー 決勝>力走する鈴木朋樹=国立競技場(鳥越瑞絵撮影)
【東京パラリンピック2020】<陸上 400メートルユニバーサルリレー 決勝>力走する鈴木朋樹=国立競技場(鳥越瑞絵撮影)

東京パラリンピックが閉幕する5日、千葉県館山市出身の鈴木朋樹(27)が、車いすマラソンに登場する。3日に実施された陸上競技の新種目、400メートルユニバーサルリレーで銅メダルを獲得した鈴木の活躍が期待される。ともに10年以上、練習した日本パラ陸上競技連盟の花岡伸和副理事長(45)は、「このパラリンピックが選手として節目になる。順位やタイムを理想にせず、自分の走りをしてほしい」と話した。

花岡さんと鈴木の出会いは、鈴木が小学5年の頃。花岡さんが同県四街道市に住んでいることを知った鈴木のお母さんから声をかけられたことがきっかけだった。

お母さんの後ろで車いすに座る鈴木に「走るの好きなん?」と尋ねると「はい」と答えた。「真面目に取り組むだろうな、と感じさせる子で、本人が目指せばパラリンピックに行けること、今のような選手になることが想像できた。育てがいがあると思った」と振り返る。

指導を引き受けた花岡さんは競技力だけでなく、人間としての成長も大事にした。この頃の思い出深いエピソードがある。

初めて一緒に練習したとき、鈴木が親に靴を履かせてもらっていた。花岡さんが「自分で履けるなら自分で履きな」と言うと、鈴木はその後、身の回りのことを自分でやるようになったという。

また、中学生のころ、花岡さんの車いすを鈴木に貸して練習した際、花岡さんが車いすを片付けようとすると、鈴木は「今日は僕が使ったので僕にやらせてください」と片付けを申し出た。花岡さんは「人として育ってくれてるな、と感じた」とうれしそうに思い出していた。

同県木更津市の高校へ進学すると、通学などに時間がかかり、練習ができないときもあった。レースからも遠ざかり、「本人としてはもんもんとしていた時期だったと思う」(花岡さん)。それでも競技を押し付けたくなかった花岡さんは、トレーニングだけは続けるように助言したという。

大学に進学すると競技に戻った。1年生のときは東京のキャンパスに通学したため、花岡さんが競技用の車いすを車に積んで夢の島(東京都江東区)の競技場まで通い、一緒に練習を続けた。

先月30日に行われた1500メートルの予選。2組目の鈴木は1組目が着順狙いでスローペースの展開になったを見て、タイム狙いの戦略を取り、予選を突破した。「アスリートとして冷静でクレバーな判断だった」(花岡さん)。翌日の決勝では9位と入賞を逃したが着実な成長を見せた。

鈴木にとって東京パラリンピックのラストレースとなる車いすマラソン。花岡さんは「集中しながらもアンテナを張り巡らせるような状態で走り、次につながる何かを感じ取ってほしい」とエールを送った。(長橋和之)

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