新型コロナウイルスの重症者の病床使用率が10都府県で、政府の対策分科会が示すステージ4(爆発的感染拡大)の目安となる使用率50%以上であることが、厚生労働省が3日に発表したデータで分かった。東京と神奈川では90%を超えており、依然として厳しい状況が続いている。
東京の重症者の病床使用率は96・9%となり、前週より2・9ポイント悪化。前週82・8%だった神奈川も8・5ポイント上昇して91・3%となった。千葉も81・6%で前週から0・7ポイント悪化した一方、埼玉は68・5%で6・4ポイント改善している。
人口10万人当たりの新規感染者数はこの1都3県全てで減少したものの、医療提供体制の逼迫(ひっぱく)は危機的状況が継続している。
関西圏の重症者の病床使用率は、前週45・8%だった兵庫が51・4%に悪化し、新たにステージ4となった。京都は前週から改善が見られたが、63・8%で予断を許さない。大阪は44・6%とステージ3の状況だが、前週より悪化。奈良県は緊急事態宣言の発令対象となっていないが、7つの指標全てがステージ4となった。
沖縄も89・2%で厳しい状況が続いている。
「1都3県はピーク越えの可能性」 東京医科大・濱田篤郎特任教授
東京と埼玉、千葉、神奈川の首都圏1都3県は10万人当たりの新規感染者数は減少しており、ピークを越えたと言ってもいいと思う。第4波の流行と比べても、減少傾向に転じるまで時間がかかったのはインド由来の「デルタ株」の感染力の強さゆえだろう。
ワクチン接種によって全体の感染状況が改善する時期でもないので、緊急事態宣言による人流抑制の効果が出ていると思われる。
ただ、重症者の病床使用率を踏まえると、東京や神奈川では医療崩壊寸前の状況で、感染者が少なくなってきているからといって安心できる状況ではない。
沖縄も感染拡大のピークを過ぎたように見えるが、相変わらず医療提供体制の逼迫は続いている。
今月12日には宣言の期限を迎えるが、現在の状況を見る限り、延長は避けられないだろう。
宣言発令は医療崩壊を防ぐことが目的の一つとなるので、解除は重症者の病床使用率を50%以下にするのが最低条件となる。ただ、一度入院するとなると、回復して病床を離れるまでにかなりの時間を要するため、小刻みの延長では十分な効果を見込めないかもしれない。(談)