紀伊半島豪雨10年 各地で慰霊祭

LEDがともる中、紀伊半島豪雨の犠牲者を追悼する参列者=4日午前1時7分、和歌山県那智勝浦町(藤崎真生撮影)
LEDがともる中、紀伊半島豪雨の犠牲者を追悼する参列者=4日午前1時7分、和歌山県那智勝浦町(藤崎真生撮影)

和歌山、奈良、三重の3県で計88人が死亡・行方不明となった平成23年の紀伊半島豪雨から10年となり、被害が大きかった各地で4日、慰霊祭などが執り行われた。自治体別で最多の29人が死亡・行方不明となった和歌山県那智勝浦町では未明から、遺族らが慰霊碑前でろうそくの形をした29個の発光ダイオード(LED)をともして犠牲者を追悼した。

被害の大きかった井関地区では、土石流が発生し始めたとされる午前1時ごろにマスク姿の遺族ら約60人が紀伊半島大水害記念公園を訪れ、29個の明かりがともる中、静かに手を合わせた。

例年は、犠牲になった中学3年の男子生徒=当時(15)=の同級生や地域住民らがろうそくを手作りしていたが、新型コロナウイルス対策で昨年からLEDで代用。式典の時間も大幅に短縮した。

おいと父親を亡くした遺族会代表の岩渕三千生(みちお)さん(60)は「10年たとうが20年たとうが、つらい気持ちは変わらない。生きている限り、追悼の活動は続けたい」。小学校時代の同級生が犠牲になった県立新翔高校3年、楠本小太朗さん(18)は「きさくで明るく、笑顔が記憶に残っている。一緒に高校生活を楽しみたかった」としのんだ。

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