【全方位ch】「ザ・カセットテープ・ミュージック」惜しまれる閉店 - 産経ニュース

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「ザ・カセットテープ・ミュージック」惜しまれる閉店

年度の上半期末にあたる9月はテレビ番組の別れの季節でもある。4年前からBS12トゥエルビで放送されている「ザ・カセットテープ・ミュージック」(日曜夜9時~)も今月で「一時閉店」が発表された。

毎週ちょっと懐かしいJ-POPの名曲や歌手を取り上げ、音楽評論家のスージー鈴木と俳優でミュージシャンのマキタスポーツが、ギターやキーボードでメロディーを奏でつつ、独自の理論でヒットの要因を分析する番組だ。

8月15日は、山下達郎特集の再放送だった。スージー鈴木はヒットの裏側に「メジャーセブンス」というコード進行を挙げ、マキタスポーツも「来た!」とばかりの反応を見せた。このメジャーセブンス。番組で何度となく聞いてきた言葉だが、どういうものなのか、音楽の素人にはいまいち分からない。

初めて見た「輝く!日本カセットテープ大賞」と題した回もそうだった。「最優秀転調大賞」に選ばれた渡辺美里の代表曲「My Revolution」(作曲・小室哲哉)を題材に、小室サウンドの特長といわれる「転調」についてギターを使って解説。何度も転調するこの曲の異色ぶりは理解できたが、転調が聞く側にどのような効果を与えるのか、やっぱりよく分からなかった。

素人には理論的に思えたが、実は音楽好きのおじさんたちによる、ただのトーク番組だったのかもしれない。訳が分からなくても見続けたのは、分かる人だけが共感できる楽しそうな会話の輪を見ると、なんとかして入り込みたくなる心境のようなものか。

似たような番組に、テレビ朝日系の「タモリ倶楽部」が浮かんだ。まじめに教養を身につける番組は、質も量も他局を圧倒しているNHKに任せておけばよい。つまり、「ザ・カセットテープ・ミュージック」は民放特有の、素性が分からない自称知識人が夜な夜な集まる、居酒屋のような番組だった。

さよならは、再び会うまでの約束。たとえ遠くても、再会の日を待っている。(圭)