国枝慎吾「最強」再び証明 車いすテニス金 - 産経ニュース

メインコンテンツ

国枝慎吾「最強」再び証明 車いすテニス金

【東京パラリンピック2020】<車いすテニス 男子シングルス 表彰式〉金メダルを獲得し、感極まる国枝慎吾=有明テニスの森公園(撮影・蔵賢斗)
【東京パラリンピック2020】<車いすテニス 男子シングルス 表彰式〉金メダルを獲得し、感極まる国枝慎吾=有明テニスの森公園(撮影・蔵賢斗)

勝利の瞬間、顔を手で覆い、これまでの道程をかみしめた。車いすテニス男子の国枝慎吾(37)が4日、シングルス決勝に臨み、集中したプレーで相手を圧倒。新型コロナウイルス禍で開催の意義が問われる中、「勇気と覚悟を持って全力で戦い抜く」と誓った大会で思いを体現し、自身2大会ぶりとなる金メダルを獲得した。

プロ野球選手にあこがれていた9歳のとき、脊髄(せきずい)腫瘍で車いす生活となった。11歳のとき、母親に連れられた施設で競技と出合い、のめり込んだ。

「弱点がない」。2004年アテネ大会で国枝とペアを組み、男子ダブルスで頂点に立った斎田悟司さん(49)は、かつての相棒をこう評する。「操作技術も、読みも抜群。サーブを含め、本当にすべてがトップクラスだ」。

08年の北京パラリンピックでシングルス優勝を果たすと、09年、車いすテニス選手として日本人初のプロ転向を宣言。「ラケット1本で、食えるようになれると知ってほしい」。後進への思いを常々、口にする。

《俺は最強だ》。そう書いたテープをラケットに貼っている。だが、前回リオデジャネイロ大会では右ひじ痛から不本意な成績に終わり、「引退」が何度も頭をよぎった。

今大会の開会式、日本選手団の主将として「パラスポーツを通じて世界をより良い共生社会にする」と選手宣誓した。そして、「最強」を再び証明することを自らに課した。

この日の決勝では、相手の強烈なサーブにも冷静に対応。ドロップショットで揺さぶられても軽快なチェアワークで追いつき攻撃に転じた。縦横無尽の動きでストレート勝ちを収めた。

「この日のために全てを費やしてきた」。パラアスリートの顔といえる男が、また声を詰まらせた。(松崎翼)

ボトムコンテンツ