平成12年4月、介護保険制度がスタートし、同時に「介護支援専門員(ケアマネジャー)」という新しい職業が誕生しました。
著者はその第2回の試験に合格し、以来21年にわたり、68歳になる今も現役のケアマネとして介護現場の最前線に立ち続けています。
著者が関わるケースはさまざまです。
体は元気なのでどこまででも出かけていってしまう認知症のお年寄り、末期がんを患いながら持病の糖尿病のセルフケアをし続ける男性、職のない息子と同居し、自身もケガで働けず生活保護申請も却下された父親……。本書には困難なケースと格闘する著者の姿がつづられています。
「一件落着」とか「スカッと解決」はあんまりありません。利用者が〝墜落〟しないように、どこまでも続く低空飛行を見守っていくのがケアマネの仕事なのです。
本づくりの終盤、著者紹介を作成します。著者の経歴やキャラクターを読者に紹介するのです。これを書くのも制作時の楽しみのひとつです。
「30代は非正規の労働現場を転々とし、38歳での出産を機に正規の仕事を求め、介護職員を経てケアマネに」…。経歴をまとめて、締めに「75歳現役を見据える」と書いたところ、著者から抗議がありました。
「75歳では、あと7年しか働けないことになり、さみしい。ここはなんとか88歳にならないものでしょうか」
著者紹介のほうも定年延長させていただきました。
(三五館シンシャ代表取締役 中野長武)